【千葉市長 熊谷俊人氏】政令市の最年少市長が語る、最高にやりがいのある地方自治体の仕事とその最前線(3/5)

住民と行政が協力して行う街づくりに向けて

加藤:少し話が変わりますが、「ちばレポ*」という住民参加型の仕組みを2015年からスタートされていらっしゃると思います。現在、開始してから約3,400件の相談受付をされていますが、利用者数は今も増えているのでしょうか?

ちばレポ*・・千葉市内で起きている様々な課題(たとえば道路が傷んでいる、公園の遊具が壊れている)を、スマートホンから市民がレポートすることで、市民と市役所、市民と市民の間で課題を共有・解決することを目指す仕組み

熊谷市長:少しずつ少しずつ増えてはいますよね。ただ既に強い関心のある方々は入って頂いていると思うので、ここから増やしていくというのは課題だと思いますね。

加藤:市長がちばレポについてご説明されている動画を拝見した際に、市長が「住民と行政で一緒に街づくりをやっていこう」というメッセージを発信されていたことにとても共感しました。

 

 ただ、残念ながらそういった文化はまだ日本では醸成されていないと思います。その難しい状況にある中、ちばレポをさらに普及させていく上で、やっていきたいことはありますか?

熊谷市長:一番の肝として、これが千葉市という単位に閉じていると、なかなか爆発的な普及はないと思うんですよね。今の方向性としては、ちばレポとか、ちばレポに影響を受けて作られたシステムが出てきていますが、本当は全国で統一された仕組みが採用されることが望ましいと思っています。

 そうすれば、こういう仕組みに取り組む市民が、仮に引っ越しをした先でも使っていけるとなれば、知名度や利用率は上がって来ると思うんです。

行政は他所のものを使いたくない

加藤:ちばレポは、他の近隣自治体に使って頂くということは可能なんでしょうか。

熊谷市長:僕らは、システムをクラウドで作っていて、ユーザー1アカウント辺りの費用が幾らという料金体系になっていますから、どの自治体でも使えるんですよ。ただ、行政は他所のものを使いたくないんです(笑)。

 行政の人間って、民間企業が思う以上に自分達でやりたいんですよね。カスタマイズしないと自分達のサービスではないぐらいの感覚があって、他のところと同じものを安く使えたとしても、それが役所の中で評価にもつながらないんですよ。

 何故そうなるかというと、議会や市民から評価されないからだと思います。細かいレベルでも市役所としての差異を作らないと、仕事をしていないことになるという認識があるのか、重要性は高くないのに微妙にカスタマイズを加えていたりという文化はあると思います。

加藤:なるほど、もしそうだとするとやや勿体ないと感じます。

住民から預かっている税金を、最高の人材で運用する為に人事の採用担当がいる

加藤:次のトピックに移ります。熊谷市長のコミュニケーションの取り方の部分で、著書の中でも、「職員を敵と見立てず一丸となってやっていくことが大事」というお話をされていました。

 その職員と一丸となってやっていくという具体的な行動の1つなのかと思ったことで、「採用が決まった職員の方お一人お一人に、直接お電話をされた」と仰っていたことがとても印象に残りました。これはどういう経緯で、始めたのでしょうか。

熊谷市長:凄く単純なんですけど、嬉しいじゃないですか(笑)。

千葉市 熊谷市長4

熊谷市長:私は会社員時代には企画部という部署で仕事をしていたので、取締役とか社長と比較的接する機会がありました。そういう時に、経営陣という自分から見ると遥か上の人達から声を掛けてもらえると、やりがいを感じるし、所謂、経営方針や会社組織に対する関心やロイヤルティにも繋がるのですよね。

 そういう原体験がありますから、市長になった時、できる限りこれから入って来る人達のモチベーションを上げたいというのがあります。それから、民間企業は良い人材を採用する為、もしくは絶対に辞退させない為に、ありとあらゆる手を使うわけですよ。それが行政にはないと感じました。所謂、採用に対する「必死さ」ですね。僕は民間企業是認論者じゃないけれど、そのくらいの必死さをやっぱり公務員も持って欲しいわけですね。

 よく、妙に「公平性、公平性」っていう話が出てくるんですけど、採用プロセスそのものにはどうしても主観が入るし、採用・不採用とするそれ自体がある意味不公平な話でしょう。

 行政は税金を背負っているんです。住民から預かっている税金を、最高の人材で運用する為に人事の採用担当がいるわけだから、最高の人材を採る為に全力を尽くせという意味で、自分も率先して全力を尽くしたいということですね。

加藤:それでご自身で電話をされたと。

熊谷市長:トップというのは市長一人しかいないので、これは市長という人間からしかできないことです。自分が逆の立場だったら電話を貰うと嬉しいし、「市長から電話くれるような自治体です」ということを周りにも言いたくなるので、そういう話を周りの友達や家族にしてくれる人が若干なりともいれば、千葉市に対して良い印象を持ってくれる人も増えるでしょうし。

加藤:確かにそう思います。1年で、今何人くらい入庁されるのでしょうか。

熊谷市長:年によって違いますけど、100人~200人ぐらいですね。

加藤:凄い数ですね。

熊谷市長:常に全ての人に必ず電話するとは保証できないですけど、時間の許す限り電話するように心がけています。

加藤:市長は若手との対話の機会を意識されていると感じるのですが・・

熊谷市長:若手問わず、どの世代も大事なんですけど、普段仕事をしている時は若手に会う機会が少ないですから、それは意識して作っていくという感じですね。

千葉市役所

千葉市役所

加藤:確かに、千葉市役所のような約7,000人の職員がいる組織では、なかなか若手が市長と話せる機会は少ないですよね。

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2017/03/04

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