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【塩尻市 山田崇氏:第2話】いろんな媒体に出ているから 何かを始められる

シティプロモーション係の業務内容

加藤:今、普段業務でされている事業はどういうものでしょうか。
山田氏:簡単に言うと、私たちのチームでは14の事業を持っています。
▼担当事業
1.ふるさと寄付金の拡充
2.塩尻未来会議
3.子育て世代への重点的プロモーション
4.三市合同移住フェア・楽園信州移住セミナー
5.結婚支援事業
6.住環境支援事業(空き家の利活用促進)
7.住環境支援事業(市内賃貸物件への移住促進)
8.民間活力導入事業(MICHIKARA)
9.リクルートホールディングスとの包括連携協定
10.ローカルイノベーションプログラムの実施(リクルート・信州大学)
11.MICHIKARAインターンシップの実施
12.信州大学との共同研究(若者の定住促進)
13.地域おこし協力隊
14.塩尻市シティプロモーションサイト「塩尻耕人」

管理職ではなく担当者が事業を評価する

加藤:進めていく取り組みが多くありますが、個別の評価はどうしているのでしょうか。
山田氏:塩尻市では、職員自らが積極的に方針を作るということ、そして、人材開発ということもあり、2015年度から新しい事中評価の取り組みをスタートしています。
 事中評価では、定められた指標に基づき、年度当初の4月から8月くらいまでにやったことを評価しているんです。というのも、その年度の3月時点に評価をしても、役所の場合、翌4月の予算には反映できないんですね。だから、早めに振り返りをしています。
 また、振り返りの対象は全ての施策ではなくて、全ての事務事業のうち、優先度の高い約220についてで、これは市のホームページでも公開しています。
 それと、これまでは事業について課長や部長が評価をしていたものを、事務担当者からボトムアップで評価をしていこうとしているんです。だから、事業評価の評価者の欄には担当者の名前が入り、それを課長がとりまとめるようなイメージです。

KPIをもとに事業の妥当性を検証

加藤:各担当者の方がKPIをもとに、各事業を評価するのでしょうか。
山田氏:はい。中間のKPI、それと年間のKPI、3年間のKPIを設定しており、それに合わせて、「妥当性」「有効性」「効率化」の観点から、事業の妥当性を検証し、コストに関しての拡大、縮小、スクラップなどを判断して、課長に見てもらう訳です。
加藤:なるほど。

定められた予算枠であれば 金庫番(財政課)は口を出さない

山田氏:あと、セイコーエプソン出身の今四期目の小口利幸市長が、民間の感覚から事業部制というのをいち早く取り入れています。2015年度からは、事業部の中で包括予算の枠を設定して、この中に収まっていれば、財政課は一切口を出しません。
加藤:自治体の金庫番である財政課が指摘をしないということは、事業部には事業部の責任としてコミットしていく必要があるわけですね。

人は見て 感じて 変わる

加藤:ちなみに最初に仕組みを変えた時は、反発はありませんでしたか?
山田氏:個人的にはあまり感じてないですね。塩尻市の30代の若手職員、北野幸徳という、うちの『ミスターMICHIKARA』と言われているキーマンがいるんですけど、彼はかなり当事者意識を持っていて、このままだと財政計画に支障が出ると、しっかり調査をして周りに見せていったんですね。
 私が大好きな、チップハースとダンハースが書いた『スイッチ!』という本があるんですけど、「人は調査・分析して変わるわけじゃない」と。「人は見て感じて変わる」という話があるんです。彼はそれを、私を含めた庁内の若手職員にしっかりと見せて、危機感を共有して進めていました。
山田崇2-2

最初に血を流すのは私の役割

加藤:シティプロモーション係の仕事の中で、山田さんは今後どういうことをしていきたいですか。
山田氏:塩尻市役所には561人の職員がいますが、「山田みたいなのは1人でいい」と市長は言っています(笑)。
 実際、昔よりも市民からの要望も多様化してきている中で、ちゃんと業務を回してくれている職員が塩尻市にはいるんです。だから、最初に行動して、最初に血を流すのは私の役割だと思っています。だって、クビにならないし(笑)。

他の地域から人口を奪うことは目的としない

山田氏:今まで地方自治体は、100点を取って当たり前じゃないですか。1741の自治体が、すべからくどこでも同じサービスを、公平平等に受けられるというのがそもそもの地方自治体だった。でも、地方創生という機運の中で、私の担当部署は、地域の特色や、地域が住民から見分けられることを受け入れていかなきゃいけない。
 私は税金で人を奪い合うという移住定住には疑問を感じていて、塩尻にひとり増えるために他の地域の人口を奪うのは違うと思うんです。減りゆく人口を日本全体の視点で見れば、奪い合う必要ないんですよ。
加藤:個別最適と全体最適のバランスは必要だと思います。
山田氏:もちろん、「老後を信州で」っていうプロモーションしている自治体もあっていいと思うんですけど、塩尻市の戦略的な第五次総合計画からも、塩尻市はそうじゃないと私は思っています。リクルート、ソフトバンク、JTの社内であっても挑戦できない。でも、塩尻に来ればできる。そういうものが理想です。

挑戦する人と一緒に 伴走できる職員が求められている

山田氏:私は『京都移住計画』のコンセプトが好きで、『信州移住計画』というものを立ち上げました。これは、信州で暮らしたい人の想いをカタチにする、移住応援サイトなんですね。これからは、「好きな街で自分らしく暮らす」ことのできる若者が増えていく。そういう選択の中のひとつに、塩尻を入れてもらうためにブランドを磨いていく。
 そのブランドというのは、例えば、地域資源の価値を高めることもひとつなんですけども、もうひとつ、市役所の職員自身も磨きをかけていく。挑戦する人と一緒に『伴走できる職員』が求められていると、最近特に感じています。
 私は民間、行政、町の垣根を越えるトライセクターリーダーが地域には必要で、そのひとりになりたいと思っているんですよ。「民間との仕事もする。かつ、軸足は行政という私たちと一緒に何かやりましょうよ」という職員をどんどん増やしていきたい。

いろんな媒体に出ているから 何かを始められる

山田氏:だから、今回の取材もすごく嬉しいんですよ。例えば、『地域に飛び出す公務員アウォード』とか、『地域活性化伝道師』に選んでもらったり、いろんな媒体に個として出ていることで、外部評価があるから何かを始められる。
加藤:特に地方公務員の職員の実績って、なかなか民間まで広まらないですよね。もうちょっと公務員が世の中に出るだけでも、山田さんのように力のある企業と連携しやすくなる流れが生まれるのだと思います。

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