インタビュー

【塩尻市 山田崇氏:第1話】元ナンパ師公務員が進める 新しいシティプロモーション

山田崇1

【山田崇(やまだ たかし)氏の経歴】
1975年塩尻市生まれ。千葉大学工学部卒業。塩尻市役所企画政策部、地方創生推進課シティプロモーション係、係長。空き家プロジェクトnanoda代表。2014年「地域に飛び出す公務員アウォード2013」大賞を受賞。

2016年1月から首都圏のプロ人材との協働による官民連携プロジェクトとして「MICHIKARA〜地方創生協働リーダーシッププログラム」をスタート。2016年5月から内閣府 地域活性化伝道師。

TEDにおけるトークの印象が強い、元ナンパ師の市職員と言われる塩尻市役所の山田崇氏。公務員として、最もメディアに露出しているひとりではないかと思う。今回、そんな山田氏が市役所において求められている役割や、広く公務員に求められている課題やそのお考えなどをお聞きした。

 しかし、私が最も気になっていた点は、ひとりの地方公務員がどのように『山田崇』という個人のブランドを確立し、さらに、それを市役所の業務に還元できるようにしたのかということであった。そういった点にも注目してご覧いただき、それが読者の方の参考になればと思う。

地方創生推進課 シティプロモーション係に従事

加藤(インタビューアー):早速なんですけども、今、山田さんに求められている役割を教えてもらえますか。

山田氏:地方創生推進課シティプロモーション係という、2015年の4月にできた新設の部署で係長を努めています。2015年の3月31日までは、塩尻商工会議所という地域の経済団体に3年間出向していました。

 実は2015年に塩尻市は第5次総合計画というものを策定したんですよ。9年間の長期戦略とシティプロモーション戦略、それと、3年間の中期戦略という形のものをスタートさせました。

 それは、悪い言い方をすると、大手のコンサルにお願いをして、金太郎飴みたいな総合計画を作ったのではなくて、我々がありたい姿を2年前から市民や専門家、それに、職員自身も交えて、『30年後も選ばれる地域である』という戦略を作りました。

シティプロモーション係の役割

山田氏:現在、私たちシティプロモーション係の役割としては次の2つを意識しています。1つは住民とのコンタクトです。我々が作った戦略、施策を広く伝える。一方で、次の戦略、施策を作るために住民からの声を集めること。

 2つ目は、試してみないとわからないというところの、プロトタイプも我々が担うべきだと感じています。現在、塩尻市では、民間企業の社員と、塩尻市の職員が一緒になって、塩尻市の課題解決案を考える2泊3日の合宿、『MICHIKARA(ミチカラ)』という取り組みをやっていて、この取り組みが3年目、3回目となります。

『MICHIKARA』写真1

『MICHIKARA』の様子

塩尻市役所が課題を設定して 民間と一緒に解決を目指す

山田氏:前回作った総合計画では民間の声であったり、民間と一緒に解決をすべきものに少し踏み込めなかったと思っているんですね。そこで、塩尻市役所が5つの課題を設定して、それを民間の方にも手伝ってもらいながら解決を目指すのです。

▼第1回『MICHIKARA』で設定された課題
1.新体育館の活用戦略と民間投資活用の可能性
2.地産地消型木質ペレットによる熱供給事業の展開戦略
3.ネットワーク・テレワークインフラ等のICT基盤活用戦略
4.空き家対策戦略
5.子育て女性の復職・両立支援戦略

市長にプレゼンできる機会がある

山田氏:しかも、参加者はそこで考えた解決策を塩尻市長に直接プレゼンし、その内容を行政経営システムに基づき、担当課の職員が来年度予算案に反映できる仕組みとなっています。

『MICHIKARA』写真2

市長にプレゼンを行なう

加藤:初回は立ち上げ方が難しいと思いますが、どう進めたのでしょうか。

山田氏:第1回目ではリクルート、ソフトバンクのプロフェッショナル人材の社員に塩尻まで来てもらって、市からは、まさにプロトタイプという役割を担うべく、シティプロモーション係の職員が中心となり企画課経営企画係と一緒になってやりました。

 実際にその内容をプロモーションとして見せて、少しずつ広めていこうというところでしたが、参画企業の数や、参加者も増えていくことになりました。

加藤:実際にやってみると、3日間の中で参加者が自分たちを徹底的に追い込んで、市長へのプレゼンの後に、涙が溢れてしまった人も多かったと聞きました。

山田氏:そうですね。職員にとっても、東京の有名企業の社員と一緒に考えるというのは、とても貴重な機会だったと思います。ここで得た知見を、職員はしっかりと市の業務に積極的に活用していく。職員の育成やモチベーションのアップに目に見えてつながっているのです。

『MICHIKARA』の学生インターンシップ版もスタート

加藤:『MICHIKARA』から派生して、学生を対象としたインターンシップ版も始まったのですよね。

山田氏:はい、2016年8月にリクルートマーケティングパートナーズと実施した『WILL × 地域創生』、2016年9月には、ソフトバンクと『TURE-TECH(ツレテク)』というプロジェクトを実施し、『TURE-TECH』は2017年9月にも実施します。まさに、『MICHIKARA』の学生インターンシップ版です。

 首都圏を中心とした大学生は、我々のシティプロモーションにおけるターゲットなんですよね。 塩尻という挑戦できる地域があるということを、この事業を通じて知ってもらうことができるのです。

解決したいことを 明確に意思表示している

加藤:『MICHIKARA』や『TURE-TECH』を進める中で意識していることはありますか。

山田氏:我々が大切にしているのは仕様書作りです。まず、「向き合うべきテーマ」「テーマの背景」「我々のビジョン」「過去にトライした事の進捗やその結果」、そういうところを踏まえながら、「解決していただきたいのは、この3つです」と明確に伝えるように心がけています。

 たとえば、大手の広告代理店やコンサルに「3千万円で何かしてください」と依頼するのではなく、我々がまず考え抜いて、考え抜いて仮説を作る。その上で、「これは、全国的な課題だけど、まだどこも解決の糸口がない」と炙り出して、「いち早く塩尻市と一緒にやりませんか?」ということを伝えています。

※本インタビューは全7話です

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