インタビュー

【神奈川県庁 脇雅昭氏:第6話】このままだと そのうち死ぬわ

自分が想像しない明日があると思うと 超ワクワクする

加藤:いまも毎日、夜は人と会っているんですか?

脇氏:そうですね(笑)。

加藤:疲れたりはしませんか?

脇氏:ないです(笑)。だって、『昨日の自分が想像できなかった人』に今日会えている。それって最高じゃないですか。きっと、「自分が想像しない明日がある」と思うと、超ワクワクする。

人の話を聞いていると すごく得した気分になる

脇氏:人の話を聞いていると、なんか、すごく得した気分になる。「こういう考え方ってあるんだ」とか、「こんな仕事しているんだ」って、その人の人生を少し味わえるわけじゃないですか?

 そう思うと、他人の存在がありがたくなってくるんです。僕の人生の時間は1回しかないから、そこに力をかけられないんだけど、「この人がかけてくれているじゃん!」みたいな。さらに、「この人と何かやったら面白いことができるんじゃないか」、そういう感覚なんですよね。

人々を結びつける『究極のハブ』で在りたい

脇氏:自分にできることが、いかに限られているのか理解している。だから、自分一人で世の中を良くしようなんて、おこがましい。

 僕は、世の中の人々を結びつける『究極のハブ』で在りたいなって思っている。だからこそ、人を尊敬するんですよね。

 実は、最初から、人と人が出会う場を作ろうとしていたわけではなかったんです。もともとは、大手企業の会長がいる会に先輩から呼んでもらい、その会長からすごい人をたくさん紹介してもらったんですね。

 でも、そうやって紹介してもらった人がすごい人過ぎて、その人を自分の周りのすごい人に合わせたら、その人たちだけで仲良くなって、「自分から離れていっちゃうんじゃないか」みたいな、しょうもないちっぽけなことを考えていたんです。

 だけど、人はギブされ続けると変わるんだと思いました。紹介をされ続けて、こんなにすごい人に出会っているのに、それを自分の中にだけ留めようとするのは、罪な気がして来たんです。そこから、自分の周りの素敵な人に、素敵な人を紹介するようになりました。

 実際にそうしてみると、素敵な人同士が集まれば、素敵なものが生まれた。そこにハッピーが生まれた。だからこそ、さらにその周りの素敵な人を紹介してもらうようになっていきました。

 最初は、「紹介をしてもらえるのは、ハッピーに対するお礼なのかな」と思っていたら、人ってもっと綺麗な生き物で、自分がその輪の中でハッピーになったから、「自分の応援したい人やハッピーになってほしい素敵な人を、純粋な気持ちで応援するために、紹介してもらっていること」に気づいたんです。この正の『想いの循環』は素敵だと思いましたし、もっと、広げていきたいと思いました。

脇雅昭6-2

『志を持っている人』をいかに集めるか

加藤:どういう人たちを結び付けたいのですか?

脇氏:最初は、この人とこの人を繋げたら多分、世の中良くなるだろうなって思って会わせていたけど、全然うまくいかなかったんですね(笑)。だから、飲み会するときも、余計なことをせずに、いかに自分を無にするかっていうのを、すごく頑張っている(笑)。

 結局、やり続けていると「あ、こことここが繋がるんだ」みたいな、意外なとこが繋がっていった。自分にはその組み合わせはわからなかった。僕の中の世界は狭いから、僕の世界のベストマッチングは、本当の世の中のベストマッチングではないんだということをやりながら感じていったんです。だとすると、僕がやるべきことは、『志を持っている人』をいかに集めるかということだと思ったんです。

加藤:なるほど。

脇氏:だから、僕は志を持っているかどうかだけをチェックしていて、あとは考えないようにしています。

このままだと そのうち死ぬわ

加藤:ご自身の強みは「自分の感覚を信じ切っているところ」とおっしゃっていますが、これはどういうことでしょうか。

脇氏:端的にいうと、自分が面白そうだと感じたものを、行動に移していくということです。

 5年ほど前、「将来どうするか」をまだ悩んでいる時に父が死んだんです。そのときに「人生って限りがあるんだな」と、実感したんですね。『死』を見たときに、逆にすごく『生』を感じたんですけど、そこから自分の中に時間軸が出てきました。

 それこそ、社会企業家と会っている中で、彼らは「こんな世界を作りたい」「そのための手段はこれだ」って言っていて、僕もそういう自分の目指すべき姿が言える人になりたくて、2年間くらい悶々と悩んでいたんですよね。

 でも、2年間経ったある日、こんなに悩んで辛かったとしても「何にも世の中に対してできてねーじゃん」って思ったわけです。「あ・・・このままだと、そのうち死ぬわ」と(笑)。

自分の直感は 経験から培われた感覚

加藤:そこからどうしたんですか?

脇氏:思いついたことをやっていったんです。思いついたことをやると、次にまた、やりたいことが出てくる。それを何度も続けていって、死ぬ前に振り返ったときに、「俺ってこういうことがやりたかったんだ」っていう生き方でもいいんじゃないかと思ったんです。

 そうすると、バーッと視界が開けてきて、ムチャクチャ面白い。ワクワクする世界が広がっていく。だから、『今日思いついた、やるべきこと』を実行していくのがすごく面白かった。

 自分の直感って、全くのゼロから生まれているものじゃなくて、今まで生きてきた経験から培われた感覚だと思うんですよね。それを、自分の中で言語化できていないだけだと思っているんです

 だから、自分がいま思いつくことは、自分がやらなくちゃいけないことなんだと考えています。それが「自分の感覚を信じ切っている」ということです。

論理は後付け

脇氏:正直、『よんなな会』も全部、直感で進めているんです。それを後で、社会の問題として捉えたり、論理的に説明すると、「こういう仕掛けなんです」と言っている。だけど、それは後付けなんです。

 自治体から国に来ている人が、目の前で土日もなく仕事をしている。単純に「せっかく東京に来ているんだから、遊ぼうよー」「東京ってもっといろんな人いるよ」みたいなところが始まりなんです(笑)。脇雅昭 6-3

絶対値が大きい人間を公務員として採用すべき

加藤:最近、ここを変えていきたいと思うことはありますか?

脇氏:公務員の採用です。僕は総務省で採用を担当していたんですが、その中で、絶対値が大きい人間を採用し続けていこうとしていました。多少、方向性が変だったとしても、組織がそれを良い方向に向けることもできるはずだし、それが責任だとも思うんです。

 でも、いまは、ともすればそういう大きい人間は「組織に馴染まない」って言って弾かれる傾向があるんです。自分より優れた人を採らなくちゃいけないのに、自分が扱いやすい人間を採ったら、その組織の幅はどんどん狭くなっていきますよね。それが「なんかおかしい」って思っています。

民間のエキスパートと公務員が集まる場を創りたい

脇氏:そういう時に、「民間の採用ってどうやってんのかな?」とか、いろいろと考えないといけない。だから、それこそ一緒に民間のエキスパートの人たちと集まる場を作りたいと思って、『よんなな人事会』というのをやろうと思っています。

 他にも、全国の物産で東京に来ている人たちは、ある日突然、「物産をやれ」と言われて来ていたりする。企業で考えたら普通はちょっと有り得ないですよね? それで、3年くらい経ったらまた戻されるわけです。

 少なくともそういう仕事がもっとできるようになるために、もっと民間のマーケティングで活躍している人とか、最高の営業マンと言われる人とか、そういう人たちと一緒に考える場作りしてもいいかなあとか。

加藤:確かにそれは良いですね。

※本インタビューは全7話です

他のインタビュー記事を読む

頁トップへ