インタビュー

【神奈川県庁 脇雅昭氏:第5話】5歳の時に幼稚園の中退を決断

脇雅昭 TOP5-1

自腹で海外に行くようにした

加藤:話が少し戻りますが、H.I.Sベトナムで働いているベトナム人の方に、神奈川県庁で仕事をしてもらうことになりました。これは、どういう経緯で話を進めることができたんですか?

脇氏:海外に行ったことが1回しかない僕が国際観光課長になって(笑)、そんな人間が、国際観光課に入って「外の人間を連れてこい」と言われたので、「ヤバい、自分の能力がバレる」と思ったんです(笑)。

 それから、1~2か月に1回ずつ、海外に行くようにしました。いまはアジアを回っています。ただ、自腹で有給休暇を使ってプライベートで行っているので、滞在できても2、3日が限度。そうなると、その国のことはわからない。なので、海外に行く時には毎回、その国で活躍されている現地の人たちと仲良くなるようにしています。そうすると常に現地での最新の情報が入ってくる体制になる。そうした中で出会ったのが、H.I.Sベトナムの支店長さんでした。

 その時に「自腹で来るとかアホだね」と思われつつ、「想いを持っている人とやりたいから」って温かい言葉をかけてもらえて、「じゃあ、なんかやろう」というところから始まりました。

優秀な人材は日本で働ける しかも行政だよ

脇氏:お互いに問題を出し合って、課題を出し合ったら、H.I.Sベトナムって200人も現地の方を採用していたんです。海外に出ている他の旅行会社もあるけど、あそこまで現地の人を採用しているところはない。その中で、組織が大きくなる際に、働いている人たちのモチベーションを重要視していたんですね。

 そうすると、「優秀な人材は日本で働けるよ。しかも行政だよ」と言えると、社員にチャンスを与えることができ、モチベーションに繋がると。だから、研修費用として見てもらっているんです。

加藤:それは良いですね。行政の持つパワーというか、恐らく、脇さんが民間企業に属していたら、この話は進んでなかったと思います。

 H.I.Sさんのニーズを理解し、行政の持つ力を使うことで、一見、『無価値』に見えるものを、『価値化』した、『行政×民間』の素晴らしい事例だと思います。

神奈川県庁にいても全国に波及させたい

脇氏:僕は神奈川県庁にいながらも、どこかに「全国で」って想いもあるんです。だから、神奈川県だけでできるものを作っても、ちょっと物足りないなって思っていたんです。でも、この仕組みだったら、「他のところでもできるんじゃないかな」と思っていたら、案の定、他の都道府県でも今年からやるらしいです。

加藤:良いですね。脇さんはもともと総務省から来ているから、神奈川県庁に来て自分がやっていることを、全国で広げてもらえるというのは一石二鳥ですね。

脇氏:そうですね。しかも、何が良いかっていうと、ベトナムの人が6か月間こっちに住んでくれる。そうしたら、どう考えても神奈川のことを好きになる。そんな人がベトナムに戻って、現地で旅行業の仕事しているんですよ? それって最高の味方じゃないですか?

国から来ていることのプレッシャー

加藤:脇さんは総務省から県庁に来て、35歳で課長になっています。県庁プロパーの方だと課長になるのは、50歳ぐらいですよね? どうしても、「若造が国から来て・・・」みたいな雰囲気って出ませんか?

脇氏:みんなすごくいい人ですが、そう思っている人もいるんでしょうね。でも、「そりゃ、そう思うよね」って(笑)。

加藤:そういうところは、あまり気にならないんですか?

脇氏:いや、気にしています(笑)。「頑張らないと」って思う。でもそう思わなければいけない環境って、ありがたいことだと思うんですよね。

 県庁の人が「総務省から来た人だ。ハハー」って従っていたら、その方がおかしい。逆に、僕が「従うことを求める」のも、おかしいと思うんですよね。だから、国から来ているとかはどうでもいいことで、「ここで、自分だからできることって、何があるだろうか」と、常に考えています。

総務省 庁舎

総務省 庁舎

世の中がHAPPYになるのが究極に好きなだけ

加藤:脇さんが「世の中のために」と思えるモチベーションはどこから来るのでしょうか。

 「世の中のため」と言っていても、「世の中のために生きている自分はすごい。そうでしょ?」って他人に求める人も沢山いる。もちろん、それが絶対悪ってことではないんです。でも、脇さんは「他人から認められたい」とも思ってないですよね?

脇氏:全然、思ってない(笑)。でも、ある意味、超エゴなんだろうと思っている。世の中がHAPPYになるのが究極に好きなだけ。だから、どこまでいっても自分のためだと思っています。

 だって、「ありがとう」って言ってもらったら、超嬉しくないですか?

加藤:すごく、わかります。

5歳の時に幼稚園の中退を決断

加藤:脇さんは、承認欲求を満たされていると思うんですよね。いつから、「世の中のために何かしたい」と思っているんですか?

脇氏:難しい言葉を使いますね(笑)。でも、ちっちゃい頃、寂しかったですよ。実は最初の学歴、幼稚園中退だから(笑)。

加藤:(笑)。幼稚園中退って、どういう経緯でそうなるんですか?(笑)

脇氏:月謝が6000円くらいの地元の幼稚園に通っていて、僕を1年通わせていたけど、父が「その費用対効果が合わない」と(笑)。だから、「もし、幼稚園を辞めたら毎月お前に6000円払う!」と言われたわけです。

 5歳の僕は中退を選択したんですが、そうすると、いままでと全く違う環境に置かれる。話し相手は大人しかいなくなるし、そうすると、おのずと成長するじゃない。

 且つ、当時、ムチャクチャ勉強させられていたから、同世代の子どもたちと感覚が合わなくなってくる。だから、友達って呼べる友達が本当に少なくて、高校になってようやく、良い仲間に出会えて、そこから人と話すことの楽しさを覚えることができるようになったんです。

人との出会いが最高の喜び

脇氏:僕の分析だと、すごく寂しかった時期から、良い感じでベクトルが変わった。ムチャクチャ寂しかった分、大きな力となっているんだと思うんです。だから、人との出会いが最高の喜びだし、人と人が繋がって、HAPPYになっていくのを見ているのもすごく嬉しい。

 でも、ちっちゃい頃の写真を見ると、それもムチャクチャ笑顔だから、もしかしたらオリジナルでそうなのかもしれないですけど(笑)。
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※本インタビューは全7話です

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