インタビュー

【神奈川県庁 脇雅昭氏:第3話】巨大な元気玉を作る挑戦

全国のデコボコを共有し 全市町村の人や想いが繋がる場にしたい

加藤:この先、『よんなな会』をどのように運営していきたいですか?

脇氏:神奈川県に来ても思うんですけど、みんな神奈川っていうと横浜のイメージしか持っていない。でも、県の西のほうに行くと、宮崎出身の僕が何か懐かしい田舎の感じがするわけですよ。やっぱり、デコボコの日本がそこにあるんです。

 ひとつは、そういう全国のデコボコを共有しつつ、全市町村にいる人や想いが繋がる場として機能して、連絡を取ろうと思えば、いくらでも取り合えるようなものになればと思うんですね。

 『よんなな会』のFacebook pageがあるんですけど、例えば、そこにいる人たちが「じゃあ、今度この町に行きます。この町に住んでいる人、会いましょうよ!」みたいな、そういう感じになればと思っています。

自治体の中で悩んでいる人がいれば その役に立ちたい

脇氏:もうひとつは、国に来ている人が地方に戻って、元の組織の中で頑張り続けようとした時、それが良い組織だったらいいけど、そうじゃなかったらムチャクチャ大変だと思うんです。

 もともと『よんなな会』は、国に来ている地方公務員の人とか、国家公務員だけ対象にしていたんだけど、最近、関東の自治体の人も来てくれていたりするわけです。

 そういう人の中で使命感がある人ほど、悩んでいる人も多いんですよね。「自分はこうやりたいと思っているけど、上司はこうで、こんな環境の中だからなかなかできないんです。でも、もっと頑張ってみようと思いました」って言ってくれる人もいる。

 まだ、具体的な方法は浮かんでいませんが、そういう自治体の中で、悩んでいる人たちがいるのであれば、役に立ちたいと思うんですよね。この記事を読んでくれている人にアイディアもらいたいですね。

巨大な元気玉を作る挑戦

加藤:『よんなな会』を運営するにあたって、社団法人を作るような話がありますよね。

脇氏:社団は作りたいと思っています。

加藤:お金を集めたり、管理をきっちりすることが目的ですか?

脇氏:お金を集める気はなくて、「規模も大きくなってきたから組織体を作ったほうが良いのかな?」って思っているだけですね。

 むしろ、いまお金がないからこそできている部分もあるんですね。もし、『よんなな会』を資本主義社会の中に乗せたら、参加者一人から「いくら取ればいいんだよ」って世界なんです。

 例えば、今回のオープニングムービー。安室奈美恵のPVを作っていたり、東京駅のプロジェクションマッピング作ったようなすごい人が、「この会、良いじゃん!」って言って賛同してくれて作ってもらっているんです。それ、お金にしたらウン百万ですよ。ウン百万を参加者で割ってごらんよ・・・って話になってしまいます。

 だから、実はこれってお金を使わずにいかに、人の想いを集めるかという、まさに『元気玉』だと思うんです。ひとりひとりの元気を集めて、巨大な元気玉を作れるかっていう挑戦でもあると思っています。

参加者と一緒に作ることに価値がある

脇氏:みんなが少しずつ力を出して作っていくって、超価値があると思うんです。

 『よんなな会』の交流会では、「一人一品ずつ、みんなに食べさせたい地元のものを持ってきて」とお願いしているんですね。

 本当はケータリングにして、一人から2000円とか3000円もらうほうが簡単なんですけど、それをやると、参加者が完全なお客さんになっちゃうと思っています。

よんなな会 地元の物2

東北エリアの名産品などが並ぶテーブル

 そうじゃなくて、みんなが参加者になるために、全国のイケてるもの集めてもらう。それって、僕ひとりではできないけど、みんながちょっとずつやればできるんです。

 「みんな一人一品ってなんや?」って苦情も来るんですけど(笑)、僕としてはそれが結構、嬉しくて。来るまでの間に考えてくれて、一緒に場を作ってくれているんだって思うんです。

加藤:本当にそうですね。

脇氏:しかも、仮に自分が持って来たものが余っていると、みんな一生懸命宣伝してくれる。「これ、見た目悪いけど、マジでうまいんだって!」とか言っているんです!!

 それって、僕からするとありがたいなと思って。それだけ想いを持ってここに参加してくれている。地元のものを、いろんな人たちに伝えようとしてくれているんです。

よんなな会 地元の物3

<写真左下>張り紙を貼って地元のお店をアピール

お金は受け取りたくない

脇氏:いまは個人の活動の集合体として回せているけど、これがもし『よんなな会株式会社』とかだとしたら、「とりあえず、お金を集めないといけない」とかになると思うんですね。

加藤:ありえますよね。かといって下手にお金をもらっても、スポンサーの意向が出て来るリスクもあります。

脇氏:あぁー、もうイヤ(笑)。お金とかは、受け取りたくない(笑)。脇雅昭3-3

公務員ってなんなんだろう?

加藤:お金をもらわないで運営することの強みっていうのも、実はあると思うんですよね。

脇氏:本当にそう思います。ただそれは、僕が一定のお給料を公務員として安定的に所属組織から頂いているからチャレンジできるんだよなと。社会貢献的な動きをしていて起業する人っていて、「どう金稼いでいくんだろう」みたいなことをする人は本当にすごいなと。そういう人の存在が大事だと思うんですよね。組織に所属する僕がいくら言っても説得力はないんだけど(笑)。

加藤:個人的に思うのは、月に30~40万円ぐらいあれば、人ひとりぐらい普通に生きていけるわけじゃないですか。今の時代はインターネットとか新しいものを絡めて、しっかり地道に続けていくこともできると思うんです。

 そうすると、月に30万円の利益が生み出せないような、公益性の高いマーケットなんて存在しないと思うんですよね。そもそも、小さいマーケットって他が参入しないから、競合もあまりいないはずですからね。

脇氏:なるほどね。それはそうかもしれない。そうであっても、誰からも頼まれてなく、「これが自分のやるべき道だ」って言って、自分の人生とお金と時間をかけて、世の中のためになるものを生み出そうとしている人が、世の中には存在している。

 そういう人と話していると、「自分ってなんなんだろう?」って突きつけられますよね。「公務員ってなんなんだろう?」って。一定の給料を貰いながら役割を与えられ、その中で「公(おおやけ)のために」って言って、こなしているだけになっていないかって常に考えていますよね。

 だからこそ、いろいろな社会企業家の人たちと行政が「もっと一緒にできることはないかなぁ」とか思うんですよね。

 一方で、やはり一定の給料を安定的にいただけるのは、公務員の強みだと思うんです。だからこそ、リスクを取れるはず。その時のリスクって本当は何だろうとも思いますが。社会企業家の人たちをはじめとした志ある方々と一緒になって、世の中を良くしていきたいですよね。公と官は違う概念で、公の担い手はもはや「官」である公務員だけではないので。脇雅昭 3-last

※本インタビューは全7話です

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