インタビュー

【神奈川県庁 脇雅昭氏:第1話】官僚と地方公務員の壁を壊す総務省官僚

脇雅昭 TOP1
【脇雅昭氏の経歴】
1982年生まれ、宮崎県出身。2008年に総務省に入省。入省後に熊本県庁に出向、2010年に本庁に戻り、人事採用、公営企業会計制度の改正を行う。2013年から神奈川県庁に出向し、現在は自治振興部、市町村課長として従事。広く深い人脈を生かして、『よんなな会』を主宰し、官僚と47都道府県の地方自治体職員を繋いでいる。入省後に受験した司法試験に合格。

―日本は課題先進国としての道を突き進み、少子高齢化、国民の多様化に対応していく必要がある。そのため、国と自治体の連携を図り、国から地方への権限移譲を前提とした新たな役割分担を考えていくことが必要だ。しかし、率直にいって、国と地方自治体の関係性は必ずしも良好なわけではない。

 今回は総務省から神奈川県庁に出向している、脇雅昭氏にインタビューをさせていただいた。脇氏は『よんなな会』という、いままでにない規模で国家公務員と地方公務員の交流する場を設け、国と地方の壁を壊している。

 しかし、脇氏は壁を壊すだけではなく、「公務員とは何か、どうあるべきか」という命題も掲げ、自らも公務員のあるべき姿を模索し、実践し続けている。そんな脇氏に『よんなな会』を主宰する経緯やそのお考え、そして、今後の活動についてお聞きした。

地方公務員と国家公務員が一度に550人集まる会

加藤:今日はよろしくお願いします。脇さんは個人の活動として『よんなな会』という会を主宰しています。こちらはどういうものなのでしょうか。

脇氏:47都道府県の地方公務員と中央省庁で働く官僚を繋げることを目的としています。会の中では、官民問わず志を持って活躍している方に講演をしてもらい、そういう良い空気感を感じたうえで、いろいろな人が出会って新しいネットワークができればと思っています。

加藤:前回の第9回は渋谷ヒカリエで開催し、550人が集まりました。地方公務員と官僚がこの規模で集まる会というのは、聞いたことがないです。これまで累計で、何人ぐらいが参加しているのでしょうか?

脇氏:3400人以上の方に参加していただいています。

加藤:すごい数ですね。

よんなな会

第9回『よんなな会』 約550人が参加

熊本県庁時代の恩返し

加藤:どういうきっかけで『よんなな会』を始めたのでしょうか。

脇氏:2008年に、総務省から熊本県庁に出向したんですけど、熊本県庁ではいろんな人たちにお世話になったんです。特に大きかったのが、熊本のいろいろな人たちを紹介してもらって、大きなネットワークを作れたんですね。

 その後、総務省に戻ると、自治体から出向派遣で来ている方が、土日も休まずに仕事をしていて、「なにか僕に恩返しができたらな」って思ったんですよ。地元からわざわざ来てもらっていて、知り合いもいない中、家族を連れて来たりしているわけじゃないですか。そういう人たちに喜んでもらえる場創りができればと思ったんです。

5年前に60人規模で初開催

加藤:初めは、何人くらいの規模でスタートしたのでしょうか?

脇氏:5年ぐらい前に初めて開催して、その時は60人位の規模でやりました。

加藤:最初から60人もいたんですね。

脇氏:自分の周りにいた人たちで始めて、第一回目は渋谷の殺風景な会議室でやりました。

加藤:参加者はどういう方だったのでしょうか。

脇氏:僕の周りにいる地方自治体から国への出向者、国家公務員の同期や後輩とかです。

「やーめた!」って思った

加藤:550人の規模にするまで、大変なことも多かったと思いますが、ターニングポイントみたいなものはありましたか?

脇氏:やる度に「すげー良かった」って言ってもらえるようになっていったんですね。僕自身もすごく良いことをやっているつもりだったんです。

 ただ、何回目だったか忘れちゃったんですけど、あるとき、「次回いついつにやりましょう」って周りに言った後に、僕のテンションがすごく下がって「やーめた!」って思ったんです(笑)。

加藤:なるほど(笑)。

脇氏:それで、「申し訳ないけど今回やめます」って言って、やめたんです。

本当に価値を生み出しているのかな?

加藤:なぜ、テンションが下がったんですか?

脇氏:当時、仕事が忙しかったのもあって、「ちょっと、もたないな」って思ってやめたんですね。この時に思ったのが、自分ではすごく良いことをやっているつもりだったんだけど、僕が「やる」って言えばやる、「やめる」と言えば終わる。

 「そんなものって、本当に価値を生み出しているのかな?」って思ったんです。本当に世の中で価値があるものって、僕の意思とは関係なく、「僕がいなくなっても回り続けるようなものじゃないかな?」って思ったんですね。

 だから、当時のよんなな会は「自分の周りの人だけが楽しくなるようなものでしかないな」と思い、「これじゃダメだ」と感じました。それから、各都道府県に幹事役をやってもらう人をお願いすることで、いかに自分が知らない人に来てもらうかというところも考えるようになりました。

脇雅昭 1-2

システム化した瞬間 それが義務になる

脇氏:ただ、厳格な組織にしていくと、だんだん想いが薄れてきちゃうから、そうはしていないんです。システム化した瞬間、それが義務になってしまうから。

加藤:そうですね。

脇氏:だから、一定の仕掛けの中で、どう熱量を伝導させていくかというのを大事にしています。人の集め方も、デジタルな部分を使いながら、超アナログにもやっているんです。

加藤:例えば、どういうことですか?

脇氏:もともと、都道府県の幹事の人にExcelを投げて「周りの人をこれで集めて下さい」って言って、最終的に僕が手集計していたわけ。でも、ある回、六本木のミッドタウンで開催したら400人くらいの人が来た。

 だから、「これからもっと人が来て大変だな」と思って、効率的にやろうと、『Google フォーム』でウェブの問合せフォームを作って、そこから申し込むようにしてもらったんです。そうしたら、全然人が集まらないわけですよ(笑)。

加藤:どのくらいの数になったんですか?

脇氏:前回の半分の200人くらいしか集まらない(笑)。しかも、キャンセルがめちゃくちゃ多い(笑)。

加藤:なるほど。

脇氏:結局、参加者からすると人じゃなくて、ウェブの問合せフォームと向き合っちゃっているから、キャンセルすることへの罪悪感もない。且つ、誘うほうもメールを転送しているだけになってしまう。

 それだと、あんまり熱や想いが伝わらない。だから、幹事の人には申し訳ないんだけど、いまはまたExcelでやってもらっています(笑)。

幹事に面白いと思ってもらう

脇氏:また、熱量を伝えていくためには、幹事自身が、自分の言葉で「よんなな会」という場の魅力を語ってもらえるようにならないといけないと考え、もっと少人数の幹事会もこまめに開催しています。

 そもそも幹事の人が『よんなな会』って言って誘っても誰も知らないし、『脇雅昭がやる会』って言っても尚更よくわからない(笑)、人に刺さらないじゃないですか。

 だからまずは、幹事が自分の言葉で「全国の公務員が集まる、ムチャクチャ面白い会があるから来てよ!」って言ってくれる位にならないとダメだなと思って、そこから幹事会のようなものを、1~2か月に1回くらいやって、その人たちが「おもろいね、これ!」ってなってもらえるようにしています。

小泉進次郎 脇雅昭

第9回の『よんなな会』では小泉進次郎氏と対談

脇氏:熱量をどうやって伝導させていくか、それによってどう人に動いてもらうか、「よんなな会」だけでなく、色んな施策に通じる重要な視点からも、大事な仕掛けだと考えています。

※本インタビューは全7話です

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