インタビュー

【○○市 匿名A氏:第5話】バタバタと人が倒れる激動期

匿名

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バタバタと人が倒れる激動期を過ごす

加藤:今までの市役所における経歴を教えていただけますか。

A氏:役所に入っていきなり財政課という、超チャレンジングな経験をすることになったんです。当時の上司だった方が、1年目でもできるというところを見せてやりたいというようなところで、本当に異例の人事だったと思います。

 それで1年目から3年目は普通の財政課の職員として仕事をしていたんですけど、年度末の異動発表の時は「あぁ・・・。ここで自分の名前が載っていたら、使えなかったという烙印を押されるたんだな」とドキドキしながらその異動内示資料を見ていました。結果としてどうにかその山を乗り越えて、4年目からは全庁的な財務会計システムの更新担当として、そちらを主にやっていたという感じですね。

加藤:ちょうど10年くらい前のタイミングですかね。

A氏:もう10年以上前になっちゃうのかな。今18年目だから。

加藤:その後に障害者福祉課に行ったんですか。

A氏:そうですね。2005年に障害者自立支援法が施行され、激動期という感じで本当にきつかったですね。忙しさのあまり、次々と同僚が体調を崩していきました。いろいろな物事を定め、3月末に一斉に対象者の方に新しい受給者証を発送しなければいけない、という中の事務をしながら、1人目、2人目と続き、最後4人目が体調悪くなった時には、もうお手上げ・・そんな状況でした。

加藤:勉強不足で恐縮なんですけど、障害者自立支援法というのはどういうものだったのでしょうか。

A氏:障害福祉サービスの流れとして、障害者自立支援法の前に措置制度から支援費制度への変革がありまして、今まで市役所に言われたようにしかサービスを受けられなかったところが、障害者が主体的にサービスを選ぶことができるようになりました。

 その後、この障害者自立支援法が制定されまして、介護保険にならってサービスの支給量を障害の重さによって適正に判断することと、受益者負担の適正化を図ったところが自立支援法の肝なのかなと思います。

加藤:そのような大きな仕組みの変更によって、激務になったということですか。

A氏:まず、介護保険でいう要介護認定と同じように、障害によってどの程度生活することが大変かを認定する障害程度区分というのができ、その区分によって標準的に受けることができるサービスの受給量の目安を示すことになりました。

 その障害程度区分を認定する機関が必要になり、各市で認定審査会が立ち上がりました。そしてこれまでの利用者全員に対して障害程度区分の調査をして、その調査結果を審査会に提示して、障害程度区分を定めていきました。

 それにプラスして、もともと国の制度として実施されていた障害福祉サービスの一部が、地域生活支援事業として括られ「支給量から単価まで市町村単位で決めて運用しなさい」となり、一から制度設計しました。これが本当に大変で、特にサービスの単価設定をするにあたっては、高いと住民が利用しづらくなるし、安いと事業者が運営できない。両者が折り合う地点はどのあたりなのか、いろいろな方に話を伺って調整していきました。

 また、同じサービスなのに市によって単価がバラバラだと事業者が請求する時に混乱するだろうからという思いから、できるだけ同じ単価設定にできるよう働きかけて、近隣の市町村は概ね同じ単価でスタートさせることができました。

教育委員会はオススメの部署

加藤:その後が教育総務課ですね。

A氏:はい。そこでの1年目は教育委員会内の人事担当で、学校の用務員さんや給食の調理員さんの人事などの管理。2~3年目は教育委員会運営全般。4年目は他課の支援が中心で、学校教育基本計画の策定などにかかわっていました。

 教育委員会は行政組織のミニ版みたいな感じで、組織全体の機能を兼ね備えているので、とても勉強になったなと思います。かなりお勧めの部署です(笑)。結局、私たちが公務員として仕事ができる年数なんか、40年弱とかですよね。そんな中3~4年ごとに異動していくと、当然全て回ることはできないし、異動する場所によって得られる経験の密度が違うと思います。私は財政課で役所の中、障害福祉課で外、教育総務課で中、現在の課で外、というバランスよく経験できているので、人事異動に恵まれていると思います。

自部署や組織の利益ではなく市民の利益

加藤:お仕事をされる際に、どういうことを意識されていますか。

A氏:当たり前の話なんですけど、「自部署の利益にとらわれるのではなく、組織全体の利益かどうか」という視点で考えたいと思うようにしているのと、もっと当たり前の話として、市民の利益にどうつながっていくかというのを、よくよく考えるようにしています。

 どうしても組織に属していると、組織の論理に引きずられがちじゃないですか。まあ、自分自身が未熟で見えない世界もあるだろうし、管理職でもないので判断できる立場にもないわけなんですが、少なくとも自分の中ではそう意識した働き方をしていきたいと思ってます。

※本インタビューは全6話です

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