(PR) 学びと人脈が自宅で手に入る。全国で300名以上が参加する、地方公務員オンラインサロンの詳細はコチラ

高倉万記子

事例を知る 人を知る 情報システム

【八幡浜市役所 高倉万記子氏】システムのスペシャリストが創出した役所の外に広がる輪

高倉万記子氏 経歴
2000年に愛媛県の八幡浜市役所入庁。市民課を経て、2003年に基幹系システムの保守運用開発部門に異動し、国民健康保険や福祉制度業務等を担当。2013年に、愛媛県後期高齢者医療広域連合へシステム担当として派遣され、マイナンバー制度等の導入作業を行う。
 総務省自治大学校の行う情報システム領域における育成研修において、パネルディスカッションのコーディネーターを務め、自治体職員に対してマイナンバーやSNS活用の講師等を行っている。その他、自治体関連情報を配信する無料のメルマガも発行している。

加藤(インタビューアー):本日はお忙しい中ありがとうございます。愛媛県にある八幡浜市の特産品としてはどういったものが有名なのでしょうか。
高倉万記子氏(※以降、高倉氏):愛媛県内ということもあり、みかんを初めとする柑橘類が有名です。八幡浜は愛媛県の中でも最もみかんの生産量が多い市で、県全体の約40%を生産しています。
加藤:なるほど、そうなんですね。他にもありますか。
高倉氏:八幡浜漁港の鱧の水揚げ量が全国で2位なんですよ。あと、八幡浜ちゃんぽんというものが昭和30年ぐらいからあるんです。八幡浜市には人口3万人ぐらいしかいないのですが、ちゃんぽんを食べられるところが50店舗ぐらいあるんですよ(笑)。

八幡浜ちゃんぽん

八幡浜ちゃんぽん

加藤:凄い人気なんですね(笑)。
高倉氏:前に、佐賀の武雄に勉強会に行った時の交流会で、八幡浜ちゃんぽんのPRを入れた名刺を出したら、「うちにもちゃんぽんあるよ」って色々な人に言われたので、「ちゃんぽんがある地域の人達で集まれたらいいですね」って誘ったところ、「ワールドチャンポンクラシック」っていう、ちゃんぽんのサミットみたいなものが毎年開催されるようになって。八幡浜で開催された時も数万人規模の来場者が来ているんですよ。
加藤:凄い人の数ですね。そんなに、ご当地ちゃんぽんというのは存在するのでしょうか。
高倉氏:鳥取は「カレーちゃんぽん」、熊本で「水俣ちゃんぽん」とか、長崎の「小浜ちゃんぽん」とか、色々あります。
加藤:知らなかったです(笑)。長崎ちゃんぽんのイメージが強いので。

広域連合とは

加藤:高倉さんは、現在、八幡浜市役所から派遣されて「後期高齢者広域連合」という組織でお仕事をされています。まず、前段として「広域連合」というもの、普段その名前をあまり聞く機会がないのですが、どういうものか教えて頂けますか。
高倉氏:「広域連合」は、役所に関係する業務を、役所を越えて広域で作った方が良いという場合には、必要に応じて作っても良いと定められている組織です。例えば、地域によっては、ゴミ処理の広域連合や、介護保険の広域連合なんかがあったりします。
 ただし、「後期高齢者広域連合」というのは、47都道府県それぞれで必ず1つ作りなさいと法律で決まっています。そこでは、その該当する地域において75歳以上の医療保険の運営をしています。このように義務化されている広域連合はあまりないと思います。
加藤:その組織のオフィスは、松山市役所の中にあるんでしょうか。
高倉氏:はい、松山市役所の北条支所というところにあります。ここは、松山市役所の本庁からは20kmぐらいのところにあるので、八幡浜市よりも田舎なんです(笑)。
加藤:広域連合には地方自治体から人を派遣して運営されているのでしょうか。
高倉氏:県内の市町の職員が来ています。都道府県によっては、都道府県庁からの出向者もいます。
加藤:独自の採用はしていますか?
高倉氏:愛媛は行なっています。特に専門的な分野ですが、お医者さんが治療した内容や、処方した薬を点検してもらっています。

現在のお仕事について

加藤:「後期高齢者広域連合」に異動されて今で4年目とのことですが、その中で、高倉さんはどのような仕事をされてきたのでしょうか。
高倉氏:私の部署では、保険証等を作成したり、自治体から取得する住民基本台帳の情報や所得の情報を管理して、保険料の計算等をしています。そのシステム関係全般が私の担当でした。
加藤:具体的な実務はどのようなものだったのでしょう。
高倉氏:最初、赴任してきたときは、システムを入れ替えたばかりだったので色々とトラブルが多く、業務に影響のないように常駐SEと協議して方針を決定し、県内の市町職員と調整したり、機器がきちんと動くよう機器ベンダーのSEさんに、調査依頼や報告書の提出等の依頼を出していました。
 その後は、マイナンバーに関する仕事のウェイトが大きかったです。マイナンバーは色んな役所で情報連携するんですが、後期高齢者医療制度でも利用する必要がある為、条例を改正したりしたのですが、システムの改修も必要で、プログラムの変更で問題が起きないかチェックしたりとか、助言をしたりする一方、厚生労働省との連絡窓口等をしていました。
加藤:今、愛媛県の「後期高齢者広域連合」というのは何人ぐらいの方が職場にいるんでしょうか。
高倉氏:大体40個入りのお菓子のお土産を頂ければ足りるぐらいですね(笑)。
加藤:そうなんですね(笑)。どこの自治体からも均等に人を出すのでしょうか。
高倉氏:いえ、一番大きい松山市で常時、4~6人ぐらい来ています。
加藤:色々な人が来る中で、大変なことはありますか。
高倉氏:やはり、元々知り合いでもなかった人ばかりなので、その中で如何に楽しくコミュニケーションを取るかというのは大事だったりしますね。
 あとは、国や県、県外の広域連合とのやりとりをすることもあるんですが、1年に1回、会議で顔を合わせる以外は全て電話やメール中心のやりとりになるので、相手の立場を考えて、如何に気持ちよく働いてもらえるか、お互いが仕事をしやすくなるように、どうするべきかという点を考える機会が増え、それは凄く鍛えられました。
加藤:国や県から要望や依頼が来て、それを纏めて市町に伝えるということでしょうか。
高倉氏:国から「制度が変わるんで、こうして下さい」と言われたら、一旦、広域連合の中で事務運用を考えたり、各自治体がどう対応するべきかを検討して、各市町に依頼する感じです。
加藤:ハブになるようなイメージですね。
高倉氏:はい、私が担当しているシステム関係は特にそうで、法律が変わるのでシステムを変更すると、それに連動する他の仕組みを変えなければいけないことも多く、改修の対応を自治体にもお願いしないといけないので、説明資料を作ったりとか、質問に答えたりとか、時には自治体側の担当SEとも直接話したりなど、間に入って調整しています。
加藤:マイナンバーが国によって進められていますが、これは今の部署でどういう実務と結びつくのでしょうか。
高倉氏:まず、マイナンバーのデータを市町の役所から頂いて、それをうちでも管理しているところですが、2017年7月からの情報連携に備えて医療保険の情報連携ができるシステムに繋げるような準備をしています。

次ページ:市民と自治体から見たマイナンバーの使い道

<続きを読む>
【八幡浜市役所 高倉万記子氏】システムのスペシャリストが創出した役所の外に広がる輪(2/5)
【八幡浜市役所 高倉万記子氏】システムのスペシャリストが創出した役所の外に広がる輪(3/5)
【八幡浜市役所 高倉万記子氏】システムのスペシャリストが創出した役所の外に広がる輪(4/5)
【八幡浜市役所 高倉万記子氏】システムのスペシャリストが創出した役所の外に広がる輪(5/5)

-事例を知る, 人を知る, 情報システム
-

© 2020 Heroes of Local Government , All Rights Reserved.