インタビュー

【弘前市 佐々木絵理氏:第5話】陰口を気にしたら、やりたいことができなくなる

佐々木絵理5

現場で住民と対話していくことが大事

加藤:お仕事の中ではどういうことを意識していますか。

佐々木氏:とにかく現場に行くということが大事だと思っています。町内会のケースでも、私の地元が弘前じゃなかったこともあって、弘前の町内会の様子はもちろん、そもそも地形や地名、町並みもほとんどわからなかったし、そこにいる地域の人の顔ぶれや、地域で活動している方々のネットワークがどうなっているのか、その地域にはどんな課題があるのかなど、全く知らなかったんですね。そんな中で、頭だけで考えて何かを言うことはできないと思いました。

 なので、仕事の中でも関連する業務の現場へは足を運び、現場の人とマメに対話をして関係づくりに努めますし、基本的に仕事が終わる平日17時以降や土日も、できる範囲で一市民として、市内のイベントに顔を出してみたり、まちの方々と交流したり対話することは大切にしていますね。

町の交流1

若手は日頃の先輩の行動を見ている

加藤:自分がお仕事をされる上で、参考にされている行政職員の方はいますか。

佐々木氏:私が一番影響を受けたのはやっぱり山形市役所の後藤さんです。東北地方を中心とした公務員の自主勉強会である『東北OM(東北まちづくりオフサイトミーティング)』に参加するきっかけが後藤さんでした。採用1年目のモヤモヤしている時期に、はじめて後藤さんと出会いお話しして勇気づけられました。公務員という職業は仕事もプライベートも全てがリンクして、地域のために関わることができる魅力的な仕事であるという考えも、すごく腹落ちしたんです。

 公務員という一見かたくるしい職業であっても、県をも越えて、外に目を向け自ら行動することで広がる世界があるし、できることもたくさんある。「熱い想いを持って組織内外で頑張っている公務員は全国にはこんなにいるんだ!」ということも知れて、その希望やワクワクがあるから、今の自分があるとも思っています。

加藤:職員の方のどういうポイントに尊敬を覚えますか。

佐々木氏:尊敬できるポイントは沢山あるんですけど。仕事をする上での振る舞いや行動という面では、「仕事という枠を超えて、プライベートの時間を使って想いを持ってチャレンジしている」。だけれども、本来の役所内の業務をしっかりとこなしながら活動している方ですね。

 しかも、すごい方はプライベートの時間を、また本業につなげて結果を出すんですね。だから、役所内の信頼や信用もあって、組織の中では組織の人間としての振る舞いもできる。

加藤:なるほど。若い方が上司を見る時の物差しがあるんでしょうね。

佐々木氏:たとえば、「前向きさがあって、周りへの批判や否定よりも、まずは自らが変わり行動する姿勢」「自分一人が良ければいいという発想ではなく、みんなでシェアして仲間を拡げていく姿勢」。みんなでシェアするって、簡単そうでとっても難しいですよね。私は自分がやりたいことに一人で突っ走ってしまうタイプなので、まだまだこの辺がうまくできなくて悩んでいます。(笑)

 あとは、「立場や年齢に関わらず誠実な対応」をしてくださったり、「タイミング良く気にかけて声を掛けてくれ、活躍の場やチャンスを今のその子の能力に見合ったベストな状態で作ってくれる」。チャレンジする本人にとって、初めはとてもハードルが高く感じるんですが(笑)、それを乗り越えると、また違った景色が見えるんですよね。こういう人は本当にすごいなと思いますし、自分もこういう先輩になりたいなと思っています。

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若手は仕事ではなくプライベートの時間で活動するといい

加藤:今後、力を入れて活動していきたいというところはどういうことになりますか

佐々木氏:ホルグ(www.holg.jp)の記事でインタビューに出ている方は、仕事の中で結果を出して、がんがんやっている方も多いと思うんですけど、若手ってなかなかそこまで任せてもらえることも少ないし、力が足りなくて、勉強している間に課もすぐ変わっちゃうことも多いと思うんです。もちろん私もそうですし(笑)。

 だから、若手の場合は、仕事の中で自分のやりたいところっていうよりも、自分のやりたいところはプライベートの時間で、まずやってみる方が良いと思うんですよね。そうやって、自由に動けるところの中で何かにチャレンジしていくと、失敗があったり、いろんな気づきや出会いがあったりして、ゆくゆくは自分の仕事につなげることもできると思っています。

公務員や民間という立場を越え、仲間として一緒にまちをつくっていきたい

加藤:今後どういうことをしていきたいですか。

佐々木氏:今後、自分自身が力を入れて活動していきたいことは2つあって、1つは今まで仕事の中で関わり学んできた地域コミュニティの現場をベースに、一市民として地域の方と一緒に活動したり、小さなプロジェクトを起こすこと。

 ここ3、4年間は自分自身のスキルアップをベースに動いてきたつもりなので、次年度からはやりたいなと思っている事や、現場で見て感じている課題の解決に向けて、実際に動いてみる時期だと思ってます。

 そこの地域に住む方々の日常の生活の質の向上につながるように、知識を現場に合わせた形で活かせるようになりたいです。ファシリテーションのスキルも、住民同士の関わり合いが減ってきている中で、互いに理解し成長し、行動できるような場づくりに活かしてしていきたいです。

ファシグラ講師

佐々木氏:もう1つは、庁内の若手職員のチャレンジできるコミュニティの場をつくること。去年の秋頃から、勤務時間終了後の時間を使って、職員の自主勉強会をその時学びたいテーマに合わせて、講師を呼んだりしながら不定期開催しているんですが、そういう場を興味のある方と一緒に、ゆるーく継続的につくっていければいいなあと思ってます。

 基本的に、相手に強要はしないけど、興味があれば面白いと思うから一緒にやりませんか? というスタンスで、仕事外の時間は自由に自分のやりたいことをやっていきたいです。地域の方と接するときも、「市役所の佐々木さん」ではなく、「なんか暑苦しい『ささえりさん』」としての関係ができるといいと思っていて、そういう関係の中で、自分の得意なことややりたいことを中心に、プライベートの時間の中で地域の中や組織内の仲間と楽しくチャレンジしていくと、仲間が庁外にも庁内にも増えてくるのかなあと思っています。

 それによって、仕事としては若手ができないことでも、プライベートでできるようになる。そして、今度はそこでできたつながりや経験が、仕事の中でも生きるようになるんですね。社会人1年目の時は、自分のモチベーションを保とうとする中でも、結構、孤独を感じていたんですけど、そんな働き方や生き方も面白そうだから自分もやってみようかなという仲間が、若手中心にどんどん広がっていけばいいなあと思ってますし、ゆくゆくは、公務員とか民間とかそういう立場を越えて、一緒にクリエイティブなまちをつくっていける仲間や環境ができればいいなあと思ってます。

交流3

陰口を気にしたら、やりたいことができなくなる

佐々木氏:ただ、その中で気をつけていることはあって、自分が目立つために活動している訳ではないと理解してもらうことです。「こういうものがあればいいのになあ」とか、「こういうことができればもっと良いのになあ」と思っていることを実現したいという想いで行動しているだけなんですが、何か行動をしていて想いの部分のところが誤解されると、悪い意味で目立ってしまうことはあるので、そこは注意しています。

 だから、仕事やプライベートの活動を通じて地域と関わるうえで、大切にしたいなあという考えについて人と話したり、facebookには書きますが、あまり役所の中では自分の活動そのものについての話は出さないようにしています。

 ただ、それが役所の業務に役立つ時は、「実はこういう活動でつながりがあって・・・」や、「こういう現場を見てきて、こういう方法があるんですが・・・」みたいに話すことは良いことだと思っています。

交流5

佐々木氏:それでも、人づてに陰口を聞いたりすることはあります(笑)。「あいつは○○だから」みたいなこととかを言われることもあるんですけど、真摯に物事に向き合って、最大限気は遣っているところはありますが、軋轢をゼロにしようとしたら、自分のやりたいことができなくなるので、そこは気にしないようにしています。

 最近は割り切ってだいぶ前向きでいられますけど、それでも心が折れることは結構あります。そういう時は、いったん立ち止まって充電するときもありますが、根が負けず嫌いなので、自分が信頼して支えていただいている方々の応援の言葉を励みに、「絶対結果を出す!」という気持ちで、なんとか想いを絶やさずチャレンジし続ける。そんなことの繰り返しで、今に至っているという感じです(笑)。

※本インタビューは全6話です

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