インタビュー

【日南市長 﨑田恭平氏:第6話】絶対に市長になるべきだと思った

﨑田市長6

地元の高校生が生んだストーリー

加藤:学生の時に地域の魅力的な人と接点を持てたら愛着も湧きますよね。

﨑田市長:そうですね。逆に、高校生が動き出したことによって触発されて、地域に愛着を持った大人も増えていると思います。「高校生が地元のためにこれだけやってくれるんだ」という姿を見たら、大人も頑張っちゃいますよね。

 安倍総理の所信表明演説の際、国会の壇上で日南市が取り上げられたんです。それも『高校生』が『クルーズ船で来る外国人』のための通訳をした事例だったからお話になられたと思うんですよね。

 この通訳が行われる前、欧米の方がクルーズ船で来られて「この町、きれいだね」と学生に対して、ものすごく褒めてくれたんです。それで、「俺の町は田舎町だと思っていたけれども、これだけ外国の人が褒めてくれるすごい町だったんだ」と感じて嬉しかったそうなんです。

 でも、一方で「あの石垣は何でこういう形なの?」「あの建物の由来は?」とか聞かれた時に答えられないわけですよ。それで、子供たちも悔しいと思ったみたいで、世界から褒めてもらえるような町に、もっと自分が主体的に関わりたいと思って通訳に参加したんです。

 このストーリーが国土交通省の幹部の耳にも入って、安倍総理の所信表明で取り上げられたと言われているんですけど、それは日南市民としては嬉しいですし、高校生が町の大人に刺激を与えてくれた好例だと思います。

加藤:特定の市の話が総理の所信表明演説で出るというのは、普通、ありえないことだそうですね。それは、住民としても誇らしいですよね。どうやって、プロジェクトが動いたのでしょうか。

﨑田市長:これには、地域の情熱ある高校の先生が強く関わっています。「カナダから来るクルーズ船だと英語が使える。これはチャンスだ」ということで、通訳のプラカードに「何でも聞いてください」と書いて、町中を歩かせて英語の実地の勉強を進めたんです。

日南市クルーズのボランティア

 先生としては、この子たちが将来この町を引っ張るわけだから、ただの英語だけではなく、何かの糧にして欲しいなと思ってやってくださったんですよね。それが見事で、高校生が想像を超える化学反応を起こしてくれたんだと思います。

 クルーズだと『爆買い』みたいな話が多いですけど、それだけじゃない文化の発信、地域資源の再発見などさまざまなストーリーが隠れています。

基礎的自治体である市町村が面白い

加藤:市長としてもお仕事をされていらっしゃる中、自治体で仕事をする『だいご味』はなんでしょうか。

﨑田市長:やっぱり、直接市民に面と向かう基礎的自治体である市町村が面白いです。僕は県でも働いた。国でも働いた。そして、今、市町村でも働いているんですよ。

 県庁の経験は非常に良かったですね。国の動き、市の動きが分かりましたし、部署異動が複数あって、いろいろな経験ができ、非常に視野が広がりました。

 国でもそうです。「官僚がこういう物事の考え方で仕事を進めていくんだ」とか、県庁だったら他の県の担当者に相談できるというのがありますけど、国は他の国には聞けないから、全て自分たちでやらなきゃいけない(笑)。

 そういう、本当にすごいプレッシャーの中でやられている大変さ、気概とか、いろいろなことを含めて勉強になりました。当時、『年越し派遣村』とかが話題になっていた頃で、厚労省の前で、スピーカーで叫んでいた若者がいっぱいいました。

 学生時代に養護施設や福祉施設でボランティアしていたんですが、当時の僕は厚労省の社会福祉施設の担当をしていたんです。そこでは、「現場の声が聞こえてこない」と感じました。

 聞こえてくるのは国会議員や全国規模の有力団体の長からの声なんです。もちろん、全うなことをおっしゃる方もいらっしゃいますけれども、そうじゃない意見があった時に、現場感覚がないまま国がそこで判断をし、政策を決めていくということの難しさも感じました。

絶対に市長になるべき

﨑田市長:児童養護施設のボランティアの経験の中で、もっと地域に近いところで人づくりをしていかないと、上手くいかないんじゃないかなというのがあって、国に行った時に、もう明確に「絶対に市長になるべきだな」と、「市民に一番近いところで政治をやりたい」というのがありました。

 だから、まさにこれが『だいご味』で、人の生活の現場を感じながら政策を作れるし、結果についても実感できる。国だと、地域の活性化に関しては成功事例の横展開しかできないわけですよ。

 昔は全国一律で補助金のいろいろな制度を作って、「これやりなさい」「これやれば、補助金出しますよ」と、進めていました。でも、多種多様の価値観や社会情勢がある中では、以前のやり方では対応できなかったから『地方創生』が唱えられ、「自分の地域は自分でなんとかしてください」となっているわけです。

 今は、国も上手くいっている自治体の政策を横展開しようと動いている。だったら私は真似される側の自治体を実際に創ることの方が、この国にとって大切だと思いますし、私が関わりたいミッションだと思います。日本国のためと言うと話が大きいですし、横柄かも知れませんが、そういう気概で前例がないことでも挑戦していこうと思っています。

※本インタビューは全7話です

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