インタビュー

【日南市長 﨑田恭平氏:第3話】自分自身の能力の低さを自覚している

﨑田市長3

演技では人の心は動かない

加藤:全体的に、とても巧みに配慮された人材戦略や人材配置、それにまつわるサポートをされていると感じるんですが、もともと、そういう人事のようなお仕事はされていたんでしょうか。

﨑田市長:全く、してなかったです(笑)。

加藤:そうなんですね(笑)。

﨑田市長:県職員時代は事業課ばっかりだったんです(笑)。ただ、若い頃にプライベートで仕事以外の人と関わるような活動を多くしていました。例えば、自主勉強会や消防団、地元のお祭りの実行委員などもやっていました。

﨑田市長お祭り

 宮崎市に住んでいた時に、市で一番大きな夏祭りの実行委員もやりましたが、ここで年上の人たちや仲間にどう動いてもらえるか経験できたことが本当に生きていますね。

 そして、ボランティアの世界で経験を積めたことが良かったです。もしそれが仕事の上司部下という関係だったら、命令で動かせるじゃないですか。でも、プライベートで参加している人に同じ方向を向いて動いてもらうことは、実はものすごく難しいんですよね。

 そんな中、「これはどのようにお願いすると上手くいくかな」とか、「この勉強会を誰に任せると成長しくれるかな」と試行錯誤してやっていき、達成した時に共に喜びを分かち合うことで、人の心が動く経験もできました。

 ただ、これはテクニックじゃなくて、誰よりも自分が汗をかかないと共感してもらえないと思うので、本気で何でもがむしゃらにやっていました。演技では人の心は動かないんです。

加藤:はい。演技だと、分かる人には分かると思います。

プレーヤーというよりもプロデューサーや監督が向いている

﨑田市長:県庁には10年近くいましたけど、部下はおろか、そこの係で自分より若い後輩職員を持ったことすらない中で市長に就任し、いきなり700人の部下を持ったんです(笑)。

加藤:もともと、みんなと一緒に何かを作っていくことは好きだったのでしょうか。

﨑田市長:好きですね。僕は自分自身の能力の低さを自覚しているので(笑)。

加藤:いえいえ(笑)。

﨑田市長:プレーヤーというよりもプロデューサーや監督である方が向いていると思うんです。なんというか、名選手でなくても、名監督にはなれる可能性があるじゃないですか。あっ・・・でも私が名監督というわけじゃないですけど(笑)。

加藤:宮崎県庁でプロデューサー側と言えるような課長さんになるのは、40後半から50くらいとかですよね。

﨑田市長:宮崎県庁では、今は50代ですね。そういう意味では・・・。率直に言うと待っていられないと思っていました(笑)。

加藤:(笑)。逆に、宮崎県庁という安定したエリートコースを捨てて、リスクを取って、出て行く方は多くはいないと思うので、だからこそ貴重なんだと思います。

県庁での仕事

加藤:ちなみに、宮崎県庁の中では具体的にはどういうお仕事をされていらっしゃったのでしょうか。

﨑田市長:最初は企画部門の中枢である地域振興課というところでした。私が入るまでは新人職員が入ってなかったそうで、30代ぐらいのホントに優秀だとされている人が行くような課だったそうなんです。

 ただ、当時いらっしゃった課長さんに「若い20代を、新しい空気として課に入れた方が良いんじゃないか」という意向があり、その第1号として僕が入りました。大学を出たばかりだったので、私は全然戦力にはならなかったのですが(笑)、その時は非常に鍛えられて、良い経験をしました。

 部署は、地域振興課のあとに、現場の土木事務所で苦情担当や許認可の業務を担当していました。ここで、以前に山形市の後藤さんがインタビューで言っていた通りのさじ加減も勉強しました(笑)。

 その後に厚生労働省に出向し、2009年の政権交代を霞ヶ関の中で経験しました。官僚の動きや、考え方が学べたことは財産です。最後は県庁に戻って医療薬務課で、ドクターヘリ導入や災害医療チーム(DAMT)体制構築などに携わりました。非常に旬でヘビーな仕事だったので、鍛えてもらいました。

 たまに、日南市の取組内容を見て「民間経験があるんじゃないの?」と聞かれるんですが、僕は産業系の部局にすら行ってないんですよね(笑)。

加藤:トータルバランスがものすごいというか。何か初めてされることでも本質的なことを緻密に進めてられていますよね。

﨑田市長:緻密な「配置」を心がけています。

加藤:なるほど、なるほど。プロデューサーとして。

﨑田市長:結局は人の配置をしてサポートをしているということですね。ただ、発信することは得意な仕事なので、一個一個の発信は私自身がしっかり関わってやっているかもしれません。

職員が動かないと役所は動かない

加藤:今のお仕事をされる中、もともと、県庁でお仕事していた経験が生きていると感じることはありますか。

﨑田市長:やはり、公務員の方が意気に感じるポイントを知っているということですね。自分だったらこう言ってもらうと一生懸命働くかなとか。公務員が動かないと役所は動かないじゃないですか。

加藤:組織のマネージメントとして、本当に大事なことだと思います。なんとなく世の中の風潮として、自治体職員の方って叩かれやすいですよね。

﨑田市長:まさに、そうですね。議会などで職員の活動とかを責められたりすることがあります。ただ、そういう時は私に発言を求められなくても、必ず手を挙げて、ちゃんとやっている職員もいるということをしっかり伝えるようにしています。

加藤:伝えるべきものは伝えないといけないですよね。言われたままだと、どう話が広がるかも分からないですし、市長がそう動くことによって職員の方のモチベーションも上がりますしね。

※本インタビューは全7話です

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