インタビュー

【川崎市 奥貫賢太郎氏:第6話】川崎がすごく好きだから 誇れる地元の街にしたい

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いろいろなことを前向きに経験すると 糧になって蓄積される

加藤:ご自身の強みはどういうところだと思いますか?

奥貫氏:非常に楽観的な部分でしょうかね。与えられた課題がヘビーな時でも、「いろいろなことを前向きに経験すると、自分の糧になって蓄積されていく」と、ポジティブな面を積極的にとらえる部分があります。そこは強みだと思います。

「最良な市民とは何か」と常に問いかけている

加藤:これからどういうことをして行きたいですか?

奥貫氏:そもそも役所を志したきっかけに「市民性」があって、「社会全体にとって責任感ある、最良な市民ってなんだろう」という問いかけに、自分自身も市民として解を見いだせていければいいと思います。

加藤:川崎市役所の職員であり、川崎市民でもあると。

奥貫氏:役所だから持ちうる考え方やそこで得た経験を、市民として提供して、市民の方と一緒に何か新しいことを動かして行きたいです。

加藤:まさに、『えんたく』ではそれが動いていますよね。

奥貫氏:1つのプロジェクトとして、今動き始めたところですけど、ずっと続けて検証していかなきゃいけない部分もあります。まだまだこれからですね(笑)。

最新の社会課題の情報が集まりやすい場所にいられる

加藤:最後の質問です。自治体職員として仕事をしている「だいご味」は何でしょうか。

奥貫氏:最新の社会課題に関する情報が集まりやすい場所にいられることですね。もちろん市民と相対している部分なので、すごく生々しい情報も含めてです。戸籍情報、出生から死亡まで、いろんな情報を持っています。

 それが集まっているのが自治体の特権ですし、今後はそこをまちづくりに生かしたり、社会に訴えかけるビジネスにも生かせる。分析データとして宝になっていく。それが何よりも大きなことだと思います。

市区町村は世界モデルを生む立場にある

奥貫氏:他には、国レベルでできないようなチャレンジングな取り組みを、市区町村レベルだとできたりする部分もあります。しかも、現在、日本では良い事例ができると、国レベルで推奨してくれやすいので、全国的に広まりやすくスケールメリットが効きやすい状態になっていると思います。

 だから、市区町村は極論すると、世界的なモデルとなる取り組みを生み出せる立場にあるはずですし、危機的な状況が進む中では、画期的なアイデアも実際に世に投じなければいけない場面がいまより増えてくると思います。

川崎がすごく好きだから 誇れる地元の街にしたい

加藤:これだけ規模の大きい川崎市でも、どんどん厳しい状態になるのは目に見えていますよね。

奥貫氏:確かに川崎市は人口も増えているし、大きな工場を持っている企業がいるので、ある程度、安定して行政執行ができる側面はあると思います。ただ、市民に目を向けてみると、「川崎に誇りを持っています」という感情は、まだまだ薄い気がするんですよね。

 でも、私は25年川崎に住んでいて、川崎がすごく好きなんですね。だから、川崎を地元として誇れる街に、仕事でもプライベートでもできるようにしたいと思っています。

加藤:なるほど。素晴らしいお考えですね。本日はお忙しい中、お時間いただきありがとうございました。

奥貫氏:こちらこそありがとうございました。

編集後記

 官民を問わず、組織の中では個人、特に若手の権限はどうしても限られてくる。奥貫氏が自分のやりたいことを、組織の外で実現したいというのは、至極真っ当なアプローチだと思う。それゆえに、勤務以外の時間、つまり、平日の夜や土日の時間を有効に使って、街を活性化させようとする意欲には心から敬意を覚えるのである。
 
 私は普段から地方公務員の方とお話させていただく機会があるのだが、地方公務員に対して定時出社、定時退社というイメージはあいにく持ち合わせていない。組織によって差こそあれ、多くの自治体では数値としても職員数の削減が進んでいる反面、業務量は明らかに増えているのである。そこには厳しい現実が見え隠れしている。

 今回お話をお伺いした奥貫氏もそうであるが、志の高い多くの地方公務員が役所の外で活動することによって、行政と住民の距離が縮まってきていると感じる。しかし、私が少し危惧するのは、そういう活動を続ける方々には時間的、金銭的な負担もかかることだ。例えば、奥貫氏が仕事で忙しくなったり、家族との時間を優先しなければならなくなった場合には、いまの活動を続けられる保証はないのではないか。
 
 自治体組織は職員の自発的で、ときに自己犠牲を伴う活動に頼ることなく、いま既に存在している業務における接点からも、住民との距離を縮めていくことを徹底的に突き詰めてもいいのではないかと思う。なぜなら、業務であれば正攻法で持続可能な仕組みにできるはずだからである。ここでは割愛するが、役所が損をしてしまっている住民との業務上の関わりについては、何かの機会に述べてみたい。

 最後に、再度、奥貫氏について触れさせていただく。数多くの印象に残るコメントの中で、私にとってひときわ際立つものが以下のそれである。奥貫賢太郎氏のグローバルな視点と、強靭なチャレンジ精神、そして、未来の自治体への期待に、心底魅せられてしまった。

 『市区町村は極論すると、世界的なモデルとなる取り組みを生み出せる立場にあるはずですし、危機的な状況が進む中では、画期的なアイデアも実際に世に投じなければいけない場面が、いまより増えてくると思います』

※本インタビューは全6話です

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