インタビュー

【川崎市 奥貫賢太郎氏:第4話】自治体職員には『失敗できる場』が必要

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自治体職員には『失敗できる場』が必要

加藤:『えんたく』で事業経験を積むことで、「志はあっても、やり方がわからなくてなかなか動き出せないよ」という人も、後押しできるようになるわけですよね?

奥貫氏:少なくとも私はそう考えています。こんなことを私が言ってはいけないかもしれませんが、行政は「税金は正しく使った」と言っていかなければいけない。そうすると、不確実性の高いものには挑戦しづらいんです。

 そうであるならば、自分が個人として街の中でトライアルをしながら自分の力を磨いていかなきゃいけないと思うんですよね。その中で、うまくいかなかったものは「次にどう改善すればいいか」ということを学んでいけるので、『失敗できる場』は特に若手職員には必要だと思っています。

役所の外に出て行けば 市民と理解が深められる

奥貫氏:私を含む行政職員が「そういうチャレンジのできる場が、本当は地域の中であるんだ」ということを認識して外に出て行けば、“役所の目線”と“市民の目線”をお互いが認識しつつ、「それぞれに何ができるのか」と、理解が深められていくと思うんですね。

 街を良くするための仕組みは、単にお金を税金として集めて、それを執行していくだけで全て解決するということだけじゃない。市民側でどうお金の流れが必要か、どういった資金フローの構造が必要かを理解するだけで、多分いろんなアプローチが街中に自然に溢れていく世界になっていくのだと思っています。

「行政が失敗を認めること」を許容すべき

加藤:よく「行政の無謬性」つまり、「行政は間違えない、間違えを認められない」というような話があるじゃないですか。そういうところ自体がもっと変わって、職員が組織の中で挑戦でき、かつ、「失敗を認めること」が許容される環境になるといいですよね。

奥貫氏:財政も含めていろんな課題が表面化してくるなかでは、本来はチャレンジしながら修正をしていくことが、より解決に近いのかと思います。

加藤:そう思います。「失敗をしない」というのは「チャレンジをしない」に近いと思うんですよね。これから、社会課題にも新しいテクノロジーにも向き合わなきゃいけない。新しいことを取り込まなければいけない回数が、いままでより確実に増えていくなかではチャレンジを増やさざるを得ないと思います。

住民は失敗に対し納得できないのか

加藤:実際の民間企業では、ユニクロの柳井さんの著書『一勝九敗』じゃないですけど、めちゃくちゃな数の失敗をしているけど、成功もたまにする。それでも会社全体の業績は伸びている会社って多いと思うのです。

 もちろん、行政が失敗して「失敗しました、ごめんなさい。以上!」と言ったら、住民からも「お前何やってんだよ!」って話になると思いますけど、「今回はこの数値目標は未達だったので、次はこうやります」とか、「失敗からこれを学び、次はこうします」という話があれば、そんなに住民も文句を言わないんじゃないかと・・・でも言うのかな?(笑)

 仮に言われたとしても、「挑戦する方が長期的に、総合的に効果を上げられる可能性が高い」という説明はできないんですかね? 怒られるから避けるよりも、建設的な対話ができる気がします。

奥貫氏:「住民の方が納得されるのかどうなのか」はモノによるかもしれません。たとえば、大規模な都市の再開発のような規模のものを「失敗しました」と言っても、相当に厳しい目にさらされると思うんです。だけど、失敗しても相対的にリスクの小さい事業もあると思うので、そういう事業ではチャレンジをしてPDCAを回し、次にどう進んでいくかを考えることはあっても良いかもしれないです。

 「リスクは全てのことに必ず伴うものである」ということを、事前にきちんと説明して、もし、お叱りを受けても「失敗することがあっても、チャレンジすることのほうが、街にとって必要なことだと考えているんですよ」と、きちんと説明できる気がします。

事業の継続撤退ラインを設けることはしていない

加藤:例えば、「このキーとなる数値が10を超えたら、この通りの計画でいく」、「10を下回った場合はこういうものを考えています」もしくは「来年度は止めます」みたいなことを言って、「どっちに転んでも次の策は練られています」という表現をした場合は、納得してもらえないのでしょうか?

奥貫氏:数値目標を出すことは、他市も川崎市も含めてやってきましたけど、「継続・撤退のライン」を設けるというところまでは至ってないですね。

加藤:そうなんですね。自治体がチャレンジと失敗ができる仕組み化、説明の仕方みたいなモノもその一つかも知れませんが、それがあると良いですよね。

※本インタビューは全6話です

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