インタビュー

【川崎市 奥貫賢太郎氏:第1話】市民とともに『市民力』を高める公務員

奥貫賢太郎 1話TOP
【奥貫賢太郎(おくぬきけんたろう)氏の経歴】
上智大学を卒業後、2010年に川崎市役所入庁。現在7年目。幸区役所地域振興課、東京大学産学連携本部(出向)を経て、現在は臨海部国際戦略本部に従事。プライベートでも町に出て、市民と深く関わりながら持続可能性のあるビジネスの開発に奔走。「地元を増やす」というコンセプトを掲げて、川崎市の人と場をつなぐ試みを行っている。

―税収が減少し、自治体の財源が限られて来ている。これからは行政と市民が歩み寄る、共助の時代にならざるを得ない。自治体と市民の相互理解を深めるには、職員と市民が腹を割って関わっていく必要が生じてきた。
 そのような時勢のなか、プライベートで市民とともに街を良くする取り組みを進めている奥貫氏に、その動きや考えをお聞きした。これからの自治体職員と市民の関わり方のひとつの事例として、ご覧いただきたいと思う。

『まちづくりカフェ』とは

加藤:現在、奥貫さんは市役所の仕事をしながら、『まちづくりカフェ』というものに関わっています。これについて教えていただけますか?

奥貫氏:「まちづくりカフェ」は、「市民と行政職員が気軽に街の今後について、夢を語れる場をつくりたい」という想いから、「ご飯とお酒を片手に、話をする機会を作ろう」ということで生まれました。現在は年に3~4回程度行われ、いままでで、大体400人ぐらいが参加しています。

テーマを設定して ディスカッションを行う

加藤:具体的にはその場で、どういう会話をするんですか?

奥貫氏:もういろいろですね。各回でテーマを選定して、市民活動をされている市民の方だったり、もしくは、市の職員がゲストとして来て、それぞれの活動を紹介します。その後に、ディスカッションをして、「一緒に何かできないか」なんてことも自由に話していただいています。

 テーマは「学校の施設を有効活用するには」「ボードゲームで街づくりをどうやっていくか」「市議会の役割とはどういうものか」などでやりました。

市民と職員の有志で発足

加藤:どういう方が発起人になったのでしょうか。

奥貫氏:私は発起人ではないのですが、2013年に地域活動をされていた、市民の方と職員の有志で活動が始まりました。

加藤:なるほど。

奥貫氏:役所の立場と市民の立場がそれぞれありますが、一旦それをゼロにして、「フラットにお話しましょう」となったようです。それにより、噛み合なかったものがガチッとはまり、新しい動きや取り組みが生まれてくることを期待して、スタートしたと聞いています。

まちづくりカフェの様子

まちづくりカフェの様子

2014年に『まちづくりカフェ』に参加

加藤:奥貫さんが『まちづくりカフェ』に参加されたのは、いつ頃ですか?

奥貫氏:2014年ですね。

加藤:どういうきっかけで参加されたのですか?

奥貫氏:入庁3年目のときに、市役所の研修の一貫で、地域のNPOに5日間派遣でお伺いしました。その行先が、たまたま、この「まちづくりカフェ」を開催していたNPOさんだったんです。そこに派遣となって、取り組みを知ったのが、最初です。

加藤:公募で研修を受けたい人を募集していたのでしょうか。

奥貫氏:そうですね。手を挙げて、運よく参加させていただきました。

市民が街を良くする活動に関心があった

加藤:なぜ、その研修に参加したいと思ったのですか?

奥貫氏:「役所だけでなく、市民だからできる『まちづくり』もあるのではないか」という仮説を持って役所に入ったので、市民の方が取り組むまちづくりの活動に関心がありました。そういう志の高い人がいる場所で、フラットに話せる場があるのは、「面白いな」と素直に思えたのです。

市民と職員が衝突することもあった

加藤:市民と直接お話をする際に、クレームに近いことを言われてしまったりすることがあると聞くこともありますが、そういったことはなかったのでしょうか?

奥貫氏:私が参加した中ではあまりないと思いますが、たまには、ぶつかったりすることもありました。でも、それも必要なことかと思います(笑)。

加藤:それはどう衝突するのでしょうか?

奥貫氏:その日の話のテーマは「若手職員が市役所で行っていること」でしたが、「税金をどうやって使っていくか、適切に使っていかなきゃいけない」という話を職員からしていました。

 「市政を大切に思っているからこそ」だと思いますが、そこに来ている市民の方が、「『適切に』ってどうやるんだよ」というコメントが、結構、強めな口調で浴びせられたと記憶しています。若手なりの考えをどう持っているのか、それを知りたいがために、ちょっと口調をとがらせておっしゃっていたのかなと思います。

加藤:それでも、いまも続いていているのは良いことですね。1度ぶつかることで、お互いが本音を言える良い関係になってきますよね。

※本インタビューは全6話です

他のインタビュー記事を読む

頁トップへ