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和光市松本市長2

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【和光市長 松本武洋氏:第2話】くじ引きで選ばれた市民が進めた箱物事業の仕分け

くじ引きで選ばれた市民が進めた箱物事業の仕分け

加藤:2009年より和光市長に就任されてまもなく、箱物事業の仕分けを目的として『大規模事業検証会議』という会議体を作られました。これはどういう進め方をしたのでしょうか。
松本市長:『大規模事業検証会議』は、和光市として抱えていた大型事業というのを市民に対して『見える化』し、その事業に優先順位をつけた上で『やるorやらない』というのを決めていくものでした。つまり、役所の事業が本当に必要かどうかを市民目線でチェックしたわけです。
加藤:実際に成果を出すことができた要因は、どういったところだと思われますか?
松本市長:この会議の委員さんを、『くじ引き』によってランダムに選ばせていただいたというところですね。当時は「公募すれば十分に先進的」なんて評価があったんですけど、公募をすると同じ人がいろいろな委員になったり、同じ考えのグループの人がまとまって来てしまい、委員に偏りが出るという点が悩みだったんです。
 そこで、年代別とか、男女別とか、地域別にバランスを取りながら『くじ引き』をして、招待状を出して、「はい!」と手を挙げてくれた方の中から、さらにもう一回バランスを取って『くじ引き』をして選びました。
 それによって特定の層に偏らない、あるいは利害関係に偏らない観点からオープンの場で議論してもらって、それを踏まえて意思決定の材料にしていくことができました。

運営には尋常ではない苦労があった

加藤:すごいですね。運営としては手間が増え、難易度が上がると思うんですが、そこはどう対応されたのでしょうか。
松本市長:はい、初めて委員になる方が多かったので、「どういったフローで参加するべきか」というところから説明が必要でした。現場の事務局は本当に頭を抱えていました。大学の先生に座長を務めていただいたのですが、その先生も議論や論点の整理に本当に頭を抱えながら尽力していただいたと思います。
 振り返ると、新しい取り組みを積極的にできたという意味では良かったと思うんですけど、事務局と学識経験者の苦労たるや、もう尋常なものではなかったですよね(笑)。
 ちなみに、その後、審議会等の委員の候補者登録というものも始めました。いろいろなアンケートにチェック欄を設けて「審議会等の委員になってもいい」という候補者のリストを作り、声をかけさせていただいています。

市民に財政の厳しさを理解していただく

加藤:今、和光市は全国で77しかない地方交付税の不交付団体です。そういう中で、厳しい経営の舵取りを必要としていると思いますが、更に財政の健全化を進める上で、必要なことは何でしょうか?

和光市役所庁舎

和光市役所庁舎

松本市長:各自治体共通の悩みで、高齢化社会において行政の財政が厳しい状況だということを、市民に理解していただく努力が不可欠だと思っています。
 また、先ほど当市は地域包括ケアにおける介護予防が注目されている話がありましたが、介護予防のコンセプトは『QOL(クオリティオブライフ)の向上』なんですね。高齢者の方が要介護になった場合にはもちろんサポートしますが、可能な方には努力をして再度自立していただくことを目指しています。
 もちろん、ご本人にはそれ相応の負担はあるんですけれども、自立ができれば圧倒的にQOLが上がりますし、結果として役所の財政的な負担も介護保険料の負担も軽くなります。そういう努力をした方が得だ、という市民的な意識を高めていかなければ駄目だと思っているんですよね。
 ちなみに、このQOLの向上というのはすべての分野で言えることであり、「我々の究極の目標は地域の方々のQOLの向上である」と言っても過言ではないと思います。

和光市の職員の数はすでに全国有数レベルの少なさ

加藤:今すでに、財政健全化を目指してどの自治体も人件費を削り、通常の運営業務に関するコストも減少してきていると思うんです。
 財政を健全化しようという志を持って就任された市長が8年間お仕事をされると、既にかなりの削減が進んでいると思うんですが、その上でもまだ削減余地が大きくあると思われますか?
松本市長:もちろん、常に工夫していくことが大事だと思っています。ただ、例えば人件費で言っても、和光市の場合は住民200人に対して職員1人くらいの状況なので、全国的にも非常に少なく、ある程度厳しいレベルまで進んできていると思うんですよね。
 一方、より大きいレベルのハコモノの整理というのはまだまだやっていかなければならないと思うんですよね。市内で小学校が9校、中学校が3校あるんですけど、老朽化が進んできています。それらが更新になるタイミングで施設の機能をある程度維持しながら整理し、コストカットをしていくことが重要だと思います。

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※本インタビューは全7話です。facebookとTwitterで更新情報を受け取れます。

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