インタビュー

【浦安市 小泉和久氏:第6話】強みは『バカ』になれること

強みは『バカ』になれること

加藤:ご自身の強みと思われる部分はどういうところですか?

小泉氏:私自身にあまり強みはないですが・・・。強いて挙げれば、いろいろな意味でバカになれることかなと(笑)。

加藤:(笑)。どういうことでバカになれると思われるのですか?

小泉氏:後先を考えず、誰も踏み込まないところに、足を突っ込むところですね(笑)。で、寝る間も惜しんで、頑張っちゃう。

加藤:渦中の栗を拾うみたいなことですかね(笑)。

小泉氏:そうですね(笑)。「バカだなアイツ、取りに行っちゃったよ」みたいな(笑)。それが僕のキャラクターなのかな、と思います。

加藤:そういう方がいらっしゃるから、何か新しいモノが生まれるんだと思うんですよね。

小泉氏:そうだと良いですね(笑)。

究極の事務改善は「仕事をなくすこと」

加藤:お仕事をしている中で意識していることはどういうことがありますか?

小泉氏:カッコ良く言うと『プロ意識』だとか『コスト意識』、あとは『成果』を意識しています。また、究極の事務改善は「今自分がやっている仕事をなくすこと」だと思っているので、いつも「何とかこの仕事をなくせないかな」と考えていますね。

加藤:これからの時代では、人がやらなくなるものは増えていきますよね。

小泉氏:そうですね。今の自治体は、どうしてもキャパオーバーになっています。時代錯誤の仕事や、導入目的を達成した仕事、サービスの度を越えてしまった仕事等をなくしていくことが大事ですし、なくした分、新しい重要な仕事ができるのだと思います。なかなか「これ止めた」が言えないのが自治体の悪いところだと思います。

 また、AIとかも入ってくると、職員がすべき仕事の範囲も変わってくると思います。特に、税業務はAIを活用すると、リスト作業や課税計算の確認作業が相当削減されると思います。

 地域のことを役所が全部抱え込むというのも、もう限界が来ていると感じています。もっと地域と手を結んで、地域の仕事を地域に任せる、戻してあげることも必要なのだと最近感じています。その結果残った、職員がやらざるを得ない仕事があるなら、なるべく手をかけない方法を探すのでしょうね。

加藤:地域との連携というところでは、市民活動団体「チームURA-CIMA」で、市民の方と活動されていますよね。これは、どういうきっかけで生まれたのでしょうか?

小泉氏:もともとは、私が情報政策課から市民税課に異動した2012年、税部門を眺めてみると、「下を向いて仕事をしている職員が多いなぁ」と感じ、「閉塞感が漂い、新しいことに後向きな税部門を変えよう!」ということで、税部門の有志職員とともに、自主研究グループを発足しました。また、渦中の熱い栗を取りに行ってしまいました(笑)。

 最初は、税部門の小さな事務改善に取組んでいたのですが、メンバーが税部門から異動した後も、取組みを続けてもらったことで、活動の場が庁内に広がりました。その後、「視野を広げるためには、庁内だけを見ていてはダメだ。もっと地域に飛び出していかなきゃ!」ということで、NPOや関係団体、地域住民とともに取組みを進めていく中、2016年に市民活動団体「チームURA-CIMA」となりました。

加藤:そこでは、地域とともにGISやオープンデータについて取組んでいるのでしょうか?

小泉氏:はい。メンバーみんな、「情報・データ」の重要性・説得力に気づき、またGISの持つ可能性に魅了されまして(笑)、「チームURA-CIMA GIS・オープンデータトライアルサイト」を開設しました。

 そこで、浦安市や千葉県、国の機関が公開しているデータ、また、民間企業や大学から提供いただいたデータ等をGIS化し、掲載しています。また、NPOや関係団体とタイアップして、地域課題発見等のマッピングパーティをしたり、一緒に地図作りにも取組みました。最近、巷で流行りの「SIMちば」の浦安体験会も開催しました。チームURA-CIMAの活動内容については、facebookホームページに随時アップをして、地域住民との接点も増やしています。

在住外国人の方と巡る浦安の新魅力発見のマッピングパーティ

チームURA-CIMA「在住外国人の方と巡る浦安の新魅力発見のマッピングパーティ」

誰かのために仕事をすることの喜びを感じる

加藤:最後の質問です。自治体で働く『だいご味』は何でしょうか。

小泉氏:自治体の根本的な仕事は、地域住民の生活を支えたり、守ったりすることなんですよね。月並みな言い方ですけれど、誰かのために仕事をすることの喜びを感じるのが自治体職員の働く『だいご味』かな、と思っております。

・・・なんてね(笑)。

加藤:(笑)。本当にやり甲斐のある素敵な仕事だなと思います。今日はお忙しい中、本当にありがとうございました。

小泉氏:こちらこそありがとうございました。

編集後記

小泉氏がご自身の強みについて、「誰も踏み込まないところに、手を突っ込む」ところであると仰っていた。

 私は新しい成果を生み出すには3つのプロセス、もしくは障壁があると思うのだが、逆に言えば、その3つを満たすことができれば、成果は自ずと生まれるものであるとも思う。

 1つ目には価値のあるゴール地点を定めること。2つ目はゴールに到達する方法を思い描くこと。そして、3つ目は行動に移すこと。私の周りで圧倒的な成果を出す人の多くはこういう動きをしていた。もちろん、今回お話をしていただいた小泉氏も同様である。

 ただ、成果を出す人は、特に3つ目の『行動』が際立っているのではないか。自明ではあるが、ゴールを定め、そこに辿りつく方法をどれだけ描いたとしても、行動をしなければゴールに到達する可能性はない。そういう中では、昨今、先進的な自治体が実証実験というかたちで、新しいことに挑戦する機会を生み出す流れがあることは、とても喜ばしいことだと思う。

 一方で、『行動』を求める上では、受容しなければならないこともある。新しく何かに挑戦すると、程度の差こそあれ、そこには必ずいくつかの失敗が生まれる。しかしながら、失敗のないところに成功はない。短期的な失敗がPDCAサイクルを生み、長期的な時間軸において、大きな成功につながることは、多くの先人たちの生き方やその言葉からも明らかだ。

 そうであるとすれば、我々住民は「行政が挑戦すること」、そして「失敗すること」をむしろ奨励しながらも、「その挑戦はうまくいったのか」という検証や、「それを踏まえてどうするのか」という将来への展望を、連続的に求めていくことが重要なのではないだろうか。

 政治行政は『税金』を扱うため、その使途について、国民から厳しい目を向けられるべきではある。しかし、住民に「行政は何ひとつ失敗してはいけない」という考えがあるとしたら、それは誤った姿勢であると思う。よく言われる『行政の無謬性』という特性は、失敗の責任を過度に追及されてきた結果の産物であるのかもしれない。

 小泉氏が市民と協力しながら、オープンデータをより良いものにしていったように、これからは共助の時代になっていく。我々住民やメディアは外野から物を言うばかりではなく、自身が社会を構成する一部であると認識し、自らも『行動』していく必要があるのではないだろうか。もちろん、失敗と共にである。

※本インタビューは全6話です

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