インタビュー

【横須賀市 川名理惠子氏:第2話】当たって砕ければいいのに

川名理恵子TOP2

医療関係者 介護関係者 行政職員が集まる会議を立ち上げる

加藤:関係者の抱える課題があることがわかりました。どうやってその課題に向き合ったのでしょうか。

川名氏:まず、顔の見える関係を構築し、相互理解を深めるために、多くの職種の方が一堂に会するテーブルを用意する必要があると感じました。そこで、『在宅療養連携会議』という会議を立ち上げたのです。会議への参加をお伺いしたところ、「市役所が声掛けしてくれるのなら行きますよ」と言ってくれた人が何人かいたんです。市役所が中立的な立場として動いたことが、多くの関係者に参加をしていただいた要因だったかもしれません。

在宅療養連携会議の様子

在宅療養連携会議

川名氏:初めは医療、介護、行政から合計で11人に集まっていただいて、現場の課題を抽出することと、課題を解決するためにはどうしたら良いかを話し合いました。初年度は、昼間に4回会議をしたのですが、次の年からは全て会議を夜にして、わりと小さいワーキングチームで真剣に話をするようにしました。

ワーキングチーム

ワーキングチーム

川名氏:わいわいガヤガヤ言いながら解決策を具体化していく。みんなで考えることで、各職種の人が自分事として考えていただけたと思いますね。

コストをかけずにできる方法を選択する

加藤:コストはあまりかけずに進められたのでしょうか。

川名氏:そうですね。予算も少ない中、みんなで協力して、手作りでやってきました。みなさん、ボランティア感覚で参加していただいて感謝しています。

 実は最初に、「情報交換会の開催」という予定だったのですけど、情報交換会単発でやって、「それでおしまいになる」のは避けたいと思い、ちゃんと課題を解決するための会議体にして進めるようにしました。

早い段階で医師会と関係性を作れたことが大きかった

加藤:『在宅療養連携会議』を立ち上げて、そこに医療、介護、行政から関係者を11名集めるというのは簡単ではなかったと思います。何かキーになるポイントはありましたか。

川名氏:それぞれの組織の中にキーパーソンになる人がいると思います。そういう方を巻き込みたいとは思っていました。強い危機意識を持っている方、あるいは、最初は理解が浅かった方も、みんなで話しているうちに、少しずつ理解を深めていただけたりすることもありました。

 横須賀市がうまくいった点は、医師会との協力関係が大きかったと思います。実際、「医師会と連携して進めてきた」という点が評価されています。
 私たちは、一番に医師会長にお願いに行き、これからやろうとしている取り組みについてお話をし、ご協力をお願いしたところ、在宅医療に熱心に取り組んでいらっしゃる先生を、お二人紹介してくださいました。

「本気でやる気があるのか」

川名氏:在宅医療に熱心な先生のうちのお一人に、ご協力のお願いに行ったのですが、初めてお訪ねした時に、「本気でやる気があるのか」と厳しい口調で言われ、身のすくむ思いをしたんですね(笑)。

 上司も私も「やります。一生懸命やります! 本気でやります!」と必死に返していて、改めてこの事業の重要性を肝に銘じました。

 でも、一生懸命にやる気を持って取り組んできたことをお認めいただいたようで、3年ほど経った頃、「よく頑張ったね」と言っていただけるようになりました。とてもありがたいことです。

当たって砕ければいいのに

加藤:厳しい人こそ、一度認めていただけると、心強い味方になってもらえますよね。

川名氏:本当に先生方には助けていただいて感謝しています。市役所と医師会で強い絆ができたと思います。

 国もこの事業の成功のカギは、医師会と市区町村だと言っています。「他の自治体から地元の医師会さんにどうやってアプローチしたら良いですか?」という相談も多いです。「当たって砕ければいいのに」って思うんですけど(笑)。

医師会副会長 千場医師と 在宅医学会にて

<左=医師会副会長 千場医師> <右=川名氏>

※本インタビューは全5話です

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