インタビュー

【第2話:起業はいつかしたいと思っていた】前武雄市長 樋渡啓祐氏にみる『市長』が『社長』として生きていくためのヒント

樋渡啓祐さん2

「本当にこの金額で受けてもらえるんですか?」

加藤:いきなり民間に入るのって、ちょっとハードルがあるじゃないですか。

樋渡氏:いやでも、僕の場合はハードルがどうとか言う間もなく、民間人になるしかないわけよ。別に一念発起して、「積極的に民間人になろう」って思ってないもんね(笑)。忽然と民間っていう広大なフィールドに放り出されたわけですよ。

 そんな中、食っていかないといけないから、「ありとあらゆることをやらないといけないな」と思った時に、講演を「3万でお願いします」って言われた。だから、「わかりました。行きましょう」って言ったら、「本当にこの金額で受けてもらえるんですか?」って言われて(笑)。

加藤:(笑)。

『忙しい』には「悪い心をなくす」という意味もある

加藤:そういう状況だと、精神衛生上も良くない状態になるんじゃないですか?

樋渡氏:なりますよ、そりゃ。だけど、良かったのは村上春樹がわりと好きで、村上春樹は20代で会社始めた時にジャズバーをやっていて、「忙し過ぎて悩む暇がなかった」って。その状態と一緒ですよね。忙しいっていうのは、よく「心をなくす」って言うじゃないですか。僕が思うに、心は心でも『悪い心』をなくすって意味もあるんですよ。

起業はいつかしたいと思っていた

樋渡氏:「起業はいつかしたいな」って思っていたのね。まあ、ついこないだまでは、「死ぬまで政治家やっているんだから、それはないだろうな」って思っていたけど(笑)。でも、起業はすごい関心があった。市長の時に、起業家を集める政策も打っていたからね。

加藤:そうですよね。公共団体側にいらっしゃった時から、Yahoo!オークションを利用されたり、TSUTAYAと図書館を立ち上げたりとか、民間と動くってことは常にされてらっしゃいましたよね。

Tsutaya図書館

樋渡氏:うん。だから、自分も「そのフィールドに行きたい」ってのはあった。例えば、CCC(TSUTAYAの運営会社)の増田社長とかは本当に魅力的な起業家だもんね。孫さんだってそうだしさ。起業っていうのはホントに面白いなって。まあ大変だけどね。自分もやってよくわかったんだけど、すごく苦労もある。ただ、総じて楽しいもんね。

民間の文法がわかってきた

加藤:この前、「やっと民間人として慣れてきた」とおっしゃっていました。

樋渡氏:慣れたね。

加藤:それは具体的に言うと、どういうことなんですか?

樋渡氏:民間の文法がわかってきた。

加藤:なるほど。こうしたら話が通るとかですか?

樋渡氏:まずね、自分たちがやりたいことがあっても、それを自分から先に言っちゃだめなんですよ。ギブアンドギブです。まずは、自分が役に立てるフィールドで提言をするわけ。「で、ところで?」っておっしゃってくださったら、我々がしたい話をする。そういう民間の文法がすごく良くわかった。

 政治家や役人だった時は、自分たちがやりたいことをバンバン言えば良かった。もう、バンバンね(笑)。言わなきゃ進まないんだもん(笑)。でも、それをそのままやっていたら、民間では回らないっていうのがわかったから(笑)。

民間に慣れるのは他言語を習得するのと同じ

加藤:その民間の文法に慣れていくっていうのは、何かターニングポイントはありましたか。

樋渡氏:いや、ないです。ないです。いうなれば、他言語を習得する感覚と同じ。それって他言語っていきなりうまくならずに少しずつ上手くなるじゃないですか。それと同じで、役人の文法と民間の文法って違うしさ。言葉づかいから全部違う。

 その上で失敗はあったよね。それは、自分の中で思い通りにいかなかったってことね。僕は反省はしないけど分析は好きだから、「あの時点でこうしとけば良かったよね」っていうのは沢山あるよね(笑)。今でも沢山ある(笑)。

 ただ、結局、良い結果が出るのは良いプロセスなんですよ。逆に、悪い結果は、悪いプロセスから生まれるんですよね。でも、1から10まで全部が悪いってことではなくて、いくつかのポイントでミスをしていたので、次はそれを止めようと。もうね、自分が喋りたいことばかりバンバン言っていたからさ(笑)。

「自分がやりたいことではなくて、人がやって欲しいこと」

加藤:例えば、メルマガは今まで50回以上出されているじゃないですか。あれも、最初の頃から変えているんですか?

樋渡啓祐メルマガ

樋渡氏:変えていますね。「こういうのを読みたい」とか言われたら、そうする。

加藤:読者の意見をもとに。

樋渡氏:そうそう。要するに、自分がやりたいことではなくて、人がやって欲しいことを出す。

加藤:最初はどういうコンテンツからどう変わったんですか。

樋渡氏:わからない(笑)。僕は過去のを読み返さないから、まったく何書いたか覚えてないんですけど(笑)。ただ、最初は何書いていいかわからないわけです。だけど、読者が面白くないものを続けると、読者数ってのは如実に減っていくんだよね。でも、要望を踏まえて書くと増えていく。数字で見えるっていうのは大きいですよね。

加藤:メルマガを拝見していて思うのは、みんなが言わないことを樋渡さんがバッサリと切っていくところが壮快で、読者の方はそれを求めているような気がしますよね。世の中の事象に対して、みんなあまり明確に意見を発信しないじゃないですか。

樋渡氏:ありがとうございます(笑)。暇な時があったら、ホルグ(www.holg.jp)で広めて下さい(笑)。

加藤:わかりました(笑)。お力になれるかわからないですが、リンクを沢山貼っておきます(笑)。

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※本インタビューは全4話、毎日更新します

前武雄市長 樋渡啓祐氏にみる『市長』が『社長』として生きていくためのヒント

第1話 明るく選挙に負ける

第2話 起業はいつかしたいと思っていた

第3話 嫌いな言葉は利権

第4話 異人と組む

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