インタビュー

【鹿屋市 福井逸人氏:第1話】農林水産省から出向し、資源を活かして町を活性化。ダンスもできる副市長

【福井逸人氏の経歴】
2014年7月より、農林水産省より鹿児島県鹿屋市役所へ出向し副市長を務める。副市長就任当初から多くの人を巻き込むことで市を盛り上げ、鹿屋市の豚やカンパチなどの資源を活用し、商品開発、PR、そして販売にまで繋げた立役者。
 1973年1月生まれ。1996年に東京大学法学部を卒業後、農林水産省に入省、その後、経済企画庁物価政策課、水産庁漁政部水産経営課課長補佐、㈱ニチレイ経営企画部、栃木県農政部経済流通課長、生産局畜産部食肉鶏卵課課長補佐などを務める。

加藤(インタビューアー):本日はお忙しい中ありがとうございます。

福井逸人氏:こちらこそ鹿屋(かのや)市まで来ていただきありがとうございます。

加藤:では、早速ですが、鹿屋市でされている今のお仕事についてお教えいただけますでしょうか。

鹿屋市役所

鹿屋市役所

鹿屋には人が10万人、豚が24万頭、カンパチが100万尾

福井逸人氏:現在、鹿屋には人が10万人、豚が24万頭、そしてカンパチが100万尾いるんですね。まず、人間より多いこの豚を何とかして売り出そうと考えました。そもそも農林水産省では、鹿屋が日本屈指の畜産の町だと有名なんです。

加藤:そうなんですね。

福井逸人氏:そうなんですけど、いざ来てみると「臭い」とか、豚に対する悪評が高いんです。地域の方も豚に関する施設を迷惑施設としてしか思ってなかったんです。

 ですので、私の真面目に仕事をしていた頃の成果物なんですけど、『かのや農業・農村ビジョン』というものを作って、豚をもっと地域の資源だとわかってもらおうと、地元の畜産物を活かした食品を作りましょうとか、市民と生産者がもっと交流しましょうという動きをしていました。

加藤:なるほど。

福井逸人氏:鹿屋には、かのやばら園というバラのテーマパークがあって、市花をバラとしています。そこで、鹿屋の代名詞である豚の「バラ肉」と花の「バラ」をかけて、かのや豚ばら丼というのを考えました(笑)。

加藤:(笑)。

福井逸人氏:この『かのや豚ばら丼』を作るにあたり、元々、お互いあまり付き合いのなかった豚の関係者とか、バラの関係者とか、飲食の関係者たちに「丼の中で1つに繋がろうよ」って声をかけて、『豚ばら丼研究会』を立ち上げました。

豚ばら丼

かのや豚ばら丼

地域の飲食店と協力して、豚ばら丼VSカンパチリゾットと銘打つ

加藤:研究会というのは何をしたのでしょうか?

福井逸人氏:まず、豚ばら丼の定義などを皆で決めたんですね。そして、豚ばら丼を鹿屋の飲食店に提供してもらうように話をしました。参加してもらう際の条件は、「①鹿屋産の豚のバラ肉をメインにする」「②市花である薔薇を表現する」そして、3つめの条件が「③丼に鹿屋への愛情を注ぐ」っていう。

 

 鹿屋には薔薇にちなんだローズクィーンというミス鹿屋がいるんです。

ローズクィーンかのや

ローズクィーンかのや

そして、この人は豚肉をPRする『ロース』クィーンなんです。

ロースクィーン

ロースクィーン

加藤:(笑)。

福井逸人氏:ここまで体張っていただいているんですが、この方、普通の素人さんなんです(笑)。この豚ばら丼を提供するレストランと、後で話をするカンパチdeリゾットというものが鹿屋市内で各7店舗あり、対決するという構図になっています。

「カンパチと豚 世紀の対決」パンフレット

カンパチと豚世紀の対決2

カンパチVS豚 世紀の対決パンフレット

学校給食に豚ばらを提供する

福井逸人氏:小中学校で年に1回、食育の日に、黒豚を育てる名人が話をすると僕らが何を喋るよりも、子供たちが目をキラキラさせて話を聞いてくれるんですよね。

 「子供たちに豚のことを知って、好きになってもらうために、最初に学校に話しに行きましょうよ」ってJAに話したら、農家さんはそういうところに行ったことないからということですぐに話が進まなかったですけど、いざ学校に行ってもらうと農家さんも子供たちから力をもらえて、農家さんからも学校からもこういう機会があって良かったと言ってもらえます。

加藤:確かに子供の頃からそういう風に触れられたら、興味も愛着も湧きますよね。

福井逸人氏:そうなんです。豚バラ肉を給食に出すのは価格的に結構厳しいんですけど、給食センターが工夫してくれて、パプリカ、キャベツ、豚バラ肉を別々に調理して、それを子供たちが自分で取り分けて薔薇っぽく飾り付けるという、コストを抑えたアイデアを考えてくれたんですよ。

給食で提供されている豚ばら丼

給食で提供されている豚ばら丼

 それが子供たちにとって、とても楽しいみたいで、年に1回しか給食に出ないんですけど、人気投票で7位とか8位になる献立なんですよ。

市役所職員が豚ばら丼のキャラクターをデザイン

福井逸人氏:それと、もっと子供たちに豚を好きになってもらうためにマスコットキャラクターを考えようということで、鹿屋市の職員で絵を描ける子がこれを作ってくれました。

ばらブー

豚ばら丼マスコットキャラクター ばらブー

 ばらブーという名前なんですけど、丼にバラを敷いて、間もなく食べられる運命にあるのを知らずに、豚がニコニコしているという絵なんです(冗談笑)。

加藤:(笑)。

福井逸人氏:どうやってこのキャラクターを知ってもらうか。子供たちにどうやって鹿屋が豚の街だとわかってもらうかと考えた時に、私が教育委員会も所管していたので、その繋がりでお願いをして、市内の小中学生に愛称を募集したら、ほぼ全員から案もらえました。

加藤:すごいですね。

福井逸人氏:この時に「採用されたらプレゼントがあるかも」って言っていたんですけど、『ばらブー』だけで250票ぐらいあって、とてもじゃないけど予算に入らなくて大変だったんです(笑)。因みに、最後まで選考で揉めたのは豚田薔薇之助っていう名前でした(笑)。

加藤:子供には難しそうですね(笑)。

福井逸人氏:はい(笑)。マスコットを作って良かったなと思うのは、何かのイベントで、このキャラクターがテントとかにプリントされていると、子供たちが寄って来て、「あ!ばらブーだ!」って言うんですよね。

 この町の子たちに、「鹿屋は豚の町だよ、バラの町だよ」って言葉で説明するよりも、これを見せる方がスっと入っていると思います。

加藤:確かにそう思います。
※本インタビューは全5話です

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