インタビュー

【高野誠鮮氏 第1話】元スーパー公務員が目指す世界と今後

【高野氏の経歴】

放送作家などを経て、29歳から羽咋市役所にて勤務。その後、宇宙博物館コスモアイル等のUFOによる町おこしや、羽咋市神子原地区でとれる高品質のお米である神子原米をローマ法王に献上しブランディングを行い、フランスの三ツ星レストランがそのお米を買いにくるまでに昇華させた実績を持つ。また、著書「ローマ法王に米を食べさせた男」が原作となり、TBS系の「日曜劇場」でドラマ「ナポレオンの森」がテレビ放送された。2016年の3月末に石川県羽咋市役所を定年退職。

 

現在の活動について~首長になるのはお話にならないこと~

加藤(インタビューアー):2016年3月に市役所をご退職されてから、精力的にご活動されていますが、今後の活動について教えてください。

高野氏:埼玉県の大学で学科・学部を創設したいと思っています。少子高齢化で日本からどんどんどんどん学生が減っていて、大学運営がままならん。そこで、「世界中から生徒が集まるような大学、学科・学部を作ろうよ」ということで、去年から動かし始めて、今年は本格的に活動。来年からの生徒の募集も始めようとしています。

 もう一つは、地方創生のアドバイザリーということで、富山県の隣の氷見市の本川市長をちょっとお手伝いしています。

 それともう一つ、文化財、残された伽藍や仏塔があるんですけど、それが非常に価値のある重要文化財なんですが、それをさらに価値のあるもの、つまり国宝に昇格させたいのです。今まで行政がやって失敗してきたところを「ここ数年間のうちに国宝にします」と言っちゃったんで(笑)。本当にできるかはわかりませんが、やれるところまでやりたい。勝算はありますけど(笑)。

加藤:例えば、高野さんの様なご活躍されている方が首長になられたりすると、影響力が発揮できると思うんですが。

高野氏:ダメですね。それはお話にならないです。首長の立場だと、自由に動けずにフットワークが悪くなっちゃうんですよ。例えば、失礼かもしれないんですけど「祝辞をいただきます」なんて色んな会に引っ張りだされて時間が作れない。そして、何か本当にそこの地方に住んでいる住民と話をするとなると、役職があると情報も入りづらい。何もない方が良いんですよね。よく言い訳する奴は、「あの職に就けば俺ができる」と言いますが、実際できませんよ。やれるんだったらとっくにやってるんだから、肩書とか役職関係ないですよ。それよりも、どういう気持ちで何をしているのかが重要なんですよね。それによって、はじめて変革が出来ます。

 

脳は愚かもので体は天才、体は慈悲利他行為を行っている

高野氏:人間の細胞は利他主義なんですよ。慈悲利他という行為をやっているんですよ。自分が消滅するときに、自分が持っている余剰エネルギーを他の細胞に与えて消滅するので癌と違うんですよ。癌だけは、「俺のとこにもっと栄養をよこせよ!もっとよこせよ!」と言って、まわりの細胞を騙すんですよ。「俺、悪い奴じゃないよ」と騙して、自分たちだけが深いところまで潜り込んで、酸素の届かないところまで行って栄養を盗むだけ盗んで、気が付いたら母体が死ぬんですから。これが癌のやり口です。利己主義です。

 体は人間の生き方まで教えていますよ。僕らの脳は愚か者ですよ。馬鹿なんですよ。でも、体は天才ですから。右手と左手は絶対喧嘩しないんですね。だから、究極の理想は何かというと、会社でもなんでもそうなんですけど、一個の人間なんです。右手と左手が喧嘩しているような会社だったら、やがて潰れますよ。ハサミを持ってきて自分の指を切断しているような会社は、必ず淘汰してなくなります。小指が怪我をしたら、みんなで治そう。これが究極の理想なんですよ。

 これは、一個の家庭でもそうだし、地域社会でもそうだし、会社でもそうだし、日本っていう国全体でもそうだし、地球全体も実はそうなんですよ。ただ、そこに気が付いてない人が多いですよね。発想や思想が、害虫駆除思想なんですよ。「あいつさえいなければ良い、こいつがいるからいけないんだ」、この思想は間違いですね。農薬を使うのもそれと同じですね。「この害虫がいけないんだ」と言って、農薬を撒く。いけないものはこの地球上に最初から生きてこないでしょう。何かの役目があるんです。そこに気が付いてないだけなんです。ですから理解の仕方っていうか、まあ・・理念や思想の部分がぶれてしまっている。学歴はある、博士号、修士号を持っていたりする人はいる、でも使い物にならない人も多いんですよ。それは元の思想が間違っているからなんですよ。

 

長続きしている組織は人から喜ばれる組織

加藤:facebookでも、仰っていましたよね。どうしても自分が得をすることを考えている人が多いと。

高野氏:短命で終わる会社なんて自分のことしか考えていない。長続きする組織は何かというと、人から喜ばれる組織なんですよ。これは長続きしますよ。組織とクライアントのバランスが維持されますからね。「農協が大事だ。組織が大事だ」っていうと農協だけ残って、農家がどんどんなくなっていくんです。「役所が大事だ、お前は組織的な考え方をしない」ってやっていくと、役所だけが残って住民がどんどん消えていくんですよ。

 社会の究極の理想は一個の人間、会社の究極の理想も一個の人間。なぜなら、体は害虫駆除思想をせず、他を虐めたりとか自分たちだけが得になることは絶対しない。ものすごくうまいバランス感覚をもっているので、これを模倣すべきだと思っているんです。

 

自然栽培による農業はTPPで唯一勝てるもの

加藤:ちなみに今少し、農薬の話が出ましたけども、農業の自然栽培の活動もされていますよね。今の活動状況は如何でしょうか。

高野氏:はい、今アフリカやアジアに拠点を作るのを進めていて、自然栽培を"ジャポニック"と命名して、世界に持っていきたいんですね。閣僚の関係者と色々と話をしていますが、農業がTPPで唯一勝てるんじゃないかと思っています。しかも、相手が喜んでくれる。オランダに肩を並べるだけでこれが40倍以上に伸び上がるんですから。こんな急成長する産業を見逃す手はない。

 日本の国益にも繋がる上に、相手も喜んでくれる。だからこれは推し進めていきたいんですよ。「日本人は車やバイクから家電製品も作ってくれるけど、こんなすごい農作物も作ったのか」と、これを見せることが次の日本の一つの戦略になるんです。他の諸外国から喜ばれるものを作る。相手が嫌なものを押し付けるのは戦略じゃないですよ。そうではなく、相手が幸福になるものを押し付ける。むしろ「日本人よ、売ってくれよその野菜。そのお米、僕に売ってくれよ」と言ってもらうレベルにする。

加藤:自然栽培を進めるにあたってすごいご苦労があったとのことですが、今それは変わってきていますか?

高野氏:今は学校給食に出ていますよ。羽咋市の学校給食に使われるようになりました。

加藤:それは日本全体ではもっと広がっていくような流れが出来つつありますか?

高野氏:ありますよ。それを作りたい。北は北海道から、南は沖縄九州まで小学校から幼稚園から全部給食が自然栽培に。これは一つの夢ですね。

加藤:今でも海外に日本のフルーツが入ってくると、現地の富裕層は高い値段でも気に入って買ったりするようなので、それは強みになるのかなと思います。

高野氏:強みっていうよりも、本当に世界の消費者が喜んでくれるものなんですよね。「我々(外国人)が作り出す野菜は腐っていく、でも日本人が作った野菜は枯れていくぞ」と外国人を驚かせたい。本来の野菜は枯れるべきですが、今は農薬のせいで、ほとんどの野菜が腐りますよ。つまり、それは食べちゃいけないものなんだということなんです。だから大なたを振って変えないといけない部分です。

 農林水産省とは組めないですよ。OBが薬剤メーカーや肥料メーカーに出向して繋がっていますから。ちなみに、肥料メーカーは大体は元軍事産業です。もし、「農薬要りません、肥料要りません、除草剤も外部資材もなんにも要りません」と言うと、明治維新以降習ってきた西洋の農業学を、根底からひっくり返しちゃうんですよ。それを日本人が確立しちゃったんで、僕はそれを『ジャポニック』と言っているんですよ。自然栽培はオーガニックを凌駕してしまっているんです。

 この改革は、急にやると反発が物すごいんです。要するに、「大学で教えている先生方、それ間違っています」と言うのと同じですから。「有名大学農学部が今まで教えてきたことは間違っています。違うことを農学部で教えてきました」って話になっちゃいますから。そこをゆっくり紐解きながら、アカデミックな世界を作っていかないとどうしようもない。日本は権威に弱いんですよ、だから僕は世界の権威ある有名大学、例えばスタンフォード大学とかと絡みながらやっていきたい。反対する連中はすぐに東京大学を担ぎ出すんですよ。日本の中では有名かもしれないけど、世界で32番目ですよ。ろくでもない大学です。ま、そう言っちゃ失礼かもしれない(笑)。ハーバード大学などとも組んで、海外の大学の博士が来日した時にわざわざ来ていただいて、現場を見ていただいたんですよ。そういうことをやっています。

加藤:実際には、スピード感はある程度ゆっくりと固めながら進めなければいけない・・

高野氏:ただ、僕はダラダラやるの嫌いなんで(笑)。

加藤:(笑)。そうすると、その中でも最短で進めていると(笑)。

高野氏:要のところだけ取っちゃっていますね。ここは外しちゃいけないというところは、公務員在籍中も許可を貰わずに勝手にやっていましたからね(笑)。

 

物事を進める時に大事なことは、全て人

加藤:ちなみに、要と考えているところはどこでしょうか。

高野氏:物事を進める時に大事なのは、それを誰が動かせるかなんですよ。人なんです。全部人なんですよ。例えば、ここの大学で本当に学部を作って欲しいなと、そしたら理事長ですよ。あとは学長、副学長。そこさえ通せば、学部学科の設立だって、おのずと出来ちゃうんですよ。

 だから下からアプローチしたり、上からアプローチしたりと、物事を成すためにどこで、どういうアプローチをすればいいのかを戦略的に考え、さらに実行までやってみるんです。そうすると、自分の思い通りに行くんですよ。

 

私心がないことが伝われば、物事は動き出す

高野氏:さらに大事なところは何かというと、私心がないことなんですよ。自分の利益だけを考えていないことが相手にわかると、話に乗っていただけるんです。これはどんな機関もそうです。機関とかなんとか言っても、結局人なんですから。日本政府って言っても、結局そこには人しかいない。「政府が認めない」とか言うけど、人が認めないんですよ。人の気持ちがどうやったら動くのか考え、嫌なことを言うんじゃなしに、相手が嬉しがることを言う。これが交渉なんですよ。

加藤:過去にご活動されている中でも、NASAや農協との交渉や話し合いも私心なく、行動されているというところが結果として人を巻き込んでいるということですよね。

高野氏:やっぱり、「馬鹿な男だこいつは」と喜んでくれたりとか、そうなることによって、物事が動いていくんですよね。誰が許す、許さないかというと、それは全部人なんですよ。相手は機械ではない。だから、その人間の心理学っていうのを本当に熟知していないと、物事ってのはうまくいかないと思ってはいるんですよね。逆撫でしてはいけないですし。

 たまにはですね、まったく真逆なレトリック(他人を説得したり感化したりするために言葉を使いこなす技術)を使いながら、あえて揺さぶりをかけて、「こんなことは出来ませんよね」ってこちらが言うと、相手がムカッときて、「何言っている。わしにもできるぞ」と言わせる。そのタイミングで、「じゃあやって下さい」っていう流れも(笑)。そういう風に、人の心がどう動くんだろうと考えながらことを進めるべきだと思います。

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