コラム

茅ヶ崎市の公式サイトを毎日チェックして感じた、地方自治体の情報発信が歯がゆい話

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地方自治体は情報発信をしている。しまくっている

 最近、自分が住んでいる自治体の公式サイトを毎日のようにチェックしているのだが、日々発見があって面白い。これを人に言うと、「そんなに情報更新されてないでしょ」と言われるが、まったくの誤解である。実際は、むしろ情報が日々溢れていて追いきれないほどなのだ。

 私が住む神奈川県茅ヶ崎市の場合、例えば「迷い犬・ねこ探し隊」や「ゆずります」といったほのぼのコンテンツもあれば、「働き方改革」や「市のビジョン」といったガチなものまで様々な情報が日々発信されている。

 時にはこんなことまで公表するの?というものもある。「人事異動について」ではどの課の誰々さんが異動・昇格したという情報が実名で公表されているし、「各課の業務計画」を見ると、市のホームページやSNSを運営しているのは企画部秘書広報課で、その運営予算は年間1,183万円ということもわかる。

情報発信に対する風土を変える

 このように、地方自治体というのは民間企業ではあり得ない深さで大量の情報発信をしているのだが、一般の人の感覚としては、反対に地方自治体の方がブラックボックスであるというイメージが強いのではないかと思う。これまで地方自治体は黒子というか、縁の下の力持ちのようなスタンスを敢えて取ってきているところがほとんどだが、この情報発信という点においては裏目に出てしまっていることが多いように感じる。

 このスタンスは職員の日常生活にまで影響を与え、インターネットの登場により誰もが発信者になっている今の時代にもかかわらず、地方自治体の職員は情報発信に抵抗を感じてしまっている。むしろ地方自治体の職員こそ情報発信を積極的にするべきなのだが。(詳しくは「これからの働き方を考えたら、地方自治体がまず変わるべきことが見えてきた話」を参照)

 たしかに地方自治体で働く人に対して、一部の人たちからは通常よりも厳しい目が向けられることはある。茅ヶ崎市に寄せられた「苦情報告書」を見ても、「職員の態度が気に入らない」という声が実に多い。邪推かも知れないが、この現象には、「自分が払っている税金で生活している人のくせに」というフィルターがもたらす歪みも少なからずあるのだろう。そういう人に対しては、萎縮して事なかれ主義に徹するわけでもなく、橋下徹氏や熊谷俊人氏のように真っ向勝負するわけでもなく、ありがたくご意見を頂戴して、前に進むのが賢明だろう。

情報が「伝わる」フェーズ、発信を「攻める」フェーズへ

 地方自治体の情報発信は、深さと量については感動を覚えるほどなのだが、やはり接する機会の少なさと、その分かりづらさは改善した方が良い。接する機会の増やし方については既に言及した通りだが、加えて発信する情報の形は一般の人にも伝わるようなものに改善すべきだろう。例えば、住民と一緒に取り組みたいものや、特に理解を得たいものについては、せめて記事形式やスライド形式にするぐらいの手間のかけ方はあっても良いのではないだろうか。

 いまや、個人の情報発信力が高まっている時流をチャンスと捉えて、住民一人ひとりを街運営の当事者にするフェーズへと舵を切る時期に来ている(詳しくは「街の魅力を広報する術を茅ヶ崎に移住した私が書いてみる」を参照)。そのためには、まず情報を伝わるものにし、巻き込んでいく必要がある。

今後、自治体職員&住民が双方から街の情報発信を行っていくような、攻めの街が次々に生まれてくるだろう。それができる街、できない街の二極化が進んだとき、現状維持だと自分の街がどちらに傾くか真剣に考えてみてはいかがだろうか。

小野寺将人
1986年生まれ、神奈川県茅ヶ崎市在住。不動産情報ウェブサイト運営会社、お出かけ情報ウェブサイト運営会社にて営業・企画職を経た後、現在はヤフー株式会社にて企画職に従事。またハンドメイドアクセサリーブランドのm'no【エムノ】のウェブマーケティングも行う。
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