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コラム

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地方公務員の自己肯定感は必要以上に低いのではないか

地方公務員の自己肯定感は必要以上に低い

 これは、仮説的に思っていることだが、地方公務員の自己肯定感は必要以上に低い。私はそう感じている。厳密には、世の中全体の中で、相対的に低いという意味ではなく、やっている業務の割に低いと感じるのである。この半年間でお会いさせて頂いた地方公務員の方は500名近くに上るが、その中で感じたことだ。
 組織論に近い話になるのかもしれないが、官民問わず、成果を出す組織になる上で、そして、職員の幸福度を高める上で、職員の自己肯定感を育むことはとても重要だと思う。しかし、現状、自治体では組織立って職員の自己肯定感を高める働きかけは少なく見える。

組織は職員の自己肯定感を高める動きをしている

 民間企業にとって、この自己肯定感を醸成する上で多く用いられる手法の一つはビジョンを伝えていくことだ。端的に言うと、「我々の事業方針は○○である」、「今後、こういう世界を作って行く」という会社の方向性に共感を得ることで、向かうべき方向に推進力が生まれ、社員の動きや、幸福度と言うのは実際に高まっていく。逆に言うと、方針において社員とズレが発生すると、モチベーションの低下、大量退職などのリスクを生むのである。
 ただし、民間企業にとって、そのビジョンを描くことは実は非常に難しい場合もある。というのも、民間企業というのは、必ずしも人の心を劇的に動かすような商品の販売を目指していない場合もあるからだ。世の中には「感動を求められるのではなく、最低限の品質を安価で求められている」というような商品も存在するのである。
 例えば、世の中に『ポケットティッシュを包装している袋』だけを作る会社があるとする。その場合、発注者から「感動する質の高い袋」を発注されることはまずなく、「安いコストでそれなりに良いもの」を求められることの方が多いと思う。
 もし、自分がその会社を経営していたとすると、従業員に対してワクワクしてもらえるような事業ビジョンを打ち出すには、かなり頭を捻って考える必要がある。もしかしたら、商品そのものや、事業の未来ということよりも、待遇や働きやすさなどで従業員の満足度を高めて、気持ちよく働いてもらったほうが早い、と感じることとなるかもしれない。

地方公務員はプライドを持つことのできる仕事

 自治体の仕事はどうだろうか。私は自治体の仕事の場合、自信を持って「人々のためになる仕事をしている」と言えることが山ほどあると思う。しかし、一方でそれが正しく組織全体に伝達されていないのではないか。つまり組織運営上、有効活用ができる状態にもかかわらず、活用し切れていないのではないかと思う。
 具体的に活用するとした場合、例えば、役所内でも上層部、ないしは上司が部下や若手に自治体の価値をもっと説いていいと思うし、人事研修のプログラムなどで、普段から役所と繋がりのある外部の人を招いて、その人から見た、役所の良いところや、一方で、改善すべき点などを提言として話してもらうのもいいかもしれない。
 もちろん、住民の前で「俺たちは役に立っているぞ」と踏ん反り返る必要はない。それは、そもそも自己肯定感のない人がやることだ。当たり前の話だが、自社にプライドを持っている民間企業でも、例外を除き、ほとんどの企業はサービス提供先(≒お金を払ってもらう相手)に対して踏ん反り返ることなどしない。

自己肯定感が波及される 行動や仕組み化があってもいいのでは

 どの組織の職員も、所属する組織に対して内に秘める自己肯定感を持っていられる状態の方が望ましいだろう。なぜなら、それが職員の幸福度を高め、より良いサービスを生むという、正の循環を生むのではないかと思うからである。
 私は正の感情も負の感情も広く連鎖していくと思っている。だとすれば、連鎖させるべきは、やはり、正の感情ではないだろうか。なぜなら、自分の発した正も負も必ず自分に跳ね返ってくるのである。打算的であるが、私自身はそういう視点から、生きていく上で正の感情に重きをおいた。
 自治体職員の皆さんは私なんかよりも、もっと真っ当な正の心を持っているはずである。であるからこそ余計に、本来持っているべき自己肯定感が波及されるような、行動や仕組み化が、役所内においてもっと存在してもいいのではないかと感じるのである。

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加藤年紀(かとうとしき)
株式会社ホルグ代表取締役社長。株式会社ネクスト(東証一部:2120 ※現「株式会社LIFULL」)に2007年4月に新卒入社し、営業グループマネージャー、WEBプロモーションにおけるグループマネージャーなどを経て、2012年5月に同社インドネシア子会社『PT.LIFULL MEDIA INDONESIA』の最高執行責任者(COO)/取締役として出向。子会社の立ち上げを行い、以降4年半ジャカルタに駐在。2016年9月に同社退社後に、株式会社ホルグを設立。

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