コラム

地方自治体で働く若者たちへ 第1回:仕事の質を高める第一歩 ~「仕事の目的」を考えよう~【後藤好邦】

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 厳しい財政状況や多様化する住民ニーズへの対応、国等からの事務権限の移譲に伴う業務量の増加など、近年、自治体を取り巻く環境は厳しさを増している。その一方で、多くの自治体が行財政改革を進めていくなかで、職員の定数削減に取り組んできた。こうした状況により、私たち自治体職員に課せられる使命や責任は年々大きくなり、また職員一人ひとりの負担も年々増すばかりである。

 こうした時代背景のなかで、自治体におけるマンパワーの考え方も変わってきているように感じる。右肩上がりの成長時代においては、職員数、つまり総量としてのマンパワーが重視されたが、これからの成熟社会においては、職員一人ひとりの力、言い換えれば、個としてのマンパワーがより一層問われる時代になっていくのではないだろうか。こうした点から、自治体の未来を担う若手職員の意識改革や人材育成が、自治体、ひいては地域の未来にとって非常に大きな影響を及ぶすものと私自身は考えている。

 そのような中、偶然にも株式会社ホルグの加藤氏より、自治体で働く若い人たち向けのコラムを執筆して欲しいとの依頼を受けた。まだまだ未熟な私が、若い皆さんに、どれだけのことを伝えられるか分からないが、仕事や様々なオフサイト活動のなかで感じてきた「若い人たちに伝えたいこと」について6回シリーズで執筆させていただくことにする。

 第1回目のテーマは「仕事の目的」についてである。仕事に取り組むうえで私には大切にしていることがある。それは、その仕事の目的が何かを考えることだ。そもそも目的の捉え方が違っていれば、いかに適正な仕事(作業)をしていても、その仕事は全く意味のないものになってしまう。そのような状況に陥らないためにも、常に、自分が担当している仕事の目的とは何かを自分自身に問いかけることが、仕事の質を高めるうえで重要なことだと感じている。

 私が仕事の目的を考えることの重要性に気付いたきっかけは入庁2年目のことだった。当時、私は納税課に在籍し、税の徴収事務を担当していた。時々、滞納者への電話や訪宅しての直接的な催告もあったが、主な仕事は、毎月、定期的に発行される督促状や催告書を送付することだった。

 この仕事のやり方に、当時、私はとても違和感を持っていたのである。納税課の職員にとって、仕事の目的とは滞納額を減らすことであり、言い換えれば、いかに多くの税金を徴収するかである。その目的を達するためには、納められるのに納めていない滞納者に対して、より積極的にアプローチし、仕事全体を考えた時に、生活困窮等により、納めたくても納められない滞納者よりも時間を割くことが大切だと感じていた。

 そのため、同じ文書を均一に送付するという当時の仕事のやり方を変え、滞納者の状況に応じた催告の方法を考え実践することにした。その結果、自分が受け持った地区の滞納者及び滞納額を大幅に減らすことができたのである。

 このように、自治体には催告文書の送付といった手段が目的化してしまうことがある。これでは、大きな成果を生み出すことはできない。だからこそ、仕事の目的を考えることが重要なのである。仕事の目的を意識することで、その目的を達成するためには、どれくらいの予算(インプット)を投じ、どのようなサービス(アウトプット)を提供して、どの程度の水準(アウトカム)を目指すべきなのか、を考えるようになる。

 つまり、目的を意識することで、費用対効果を意識した仕事術が自然と身に付き、それが仕事で成果を生み出すことに繋がっていくのである。是非、皆さんもあらためて自分の仕事の目的を考えて欲しい。きっとそのことが仕事の質的向上を実現する第一歩になるだろう。

【後藤好邦氏の経歴】

1994年に、山形市役所にて勤務開始。納税課、高齢福祉課、体育振興課冬季国体室、企画調整課、都市政策課、行革推進課、そして現在では再度企画調整課に戻り、係長として交通政策を担当している。自治体職員が横のつながりを持つ機会を生み出すために、2009年に「東北まちづくりオフサイトミーティング」を3名で立ち上げ、会員を900名になるまで拡大させる。現在、雑誌『月刊ガバナンス』で「『後藤式』知域に飛び出す公務員ライフ」を執筆している。

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