コラム

地方自治体へのポジティブな注目と期待の高まり

コラム

全国の地方自治体の普通会計決算を合計すると年間で約100兆円の歳入及び、歳出がある。これは、約500兆円と言われるGDPと比較してもその規模感がうかがえる。(※内閣府の公表額約490兆円、日銀約519兆円)

因みに、日本で最も時価総額及び売上規模の大きいトヨタ自動車でさえ、グループ連結で年間28.4兆円(H28年度)の売上である。

トヨタにも約600社のグループ会社と35万人の従業員がいるが、地方自治体は約1800団体で、一般行政に関わる職員数は約90万人である。我々は税金を払っていて大きな接点があるにも関わらず、あまりにもその使用主である地方自治体に対して、無頓着な日々を過ごしてきているのではないだろうか。実際に私が「独立起業して、地方自治体と共栄できるようなビジネスをしたい」と話しても、ほとんどの人にとって、そのイメージが湧かないのが実情であったし、私自身もまだまだ地方自治体に関して知らないことも多いと実感している。

私はたまたま民間のITの業界で、約10年働くことができた。その中でやはりインターネットは今後も様々な人やモノの在り方を変えていくと実感している。よく言われることだが、情報発信者としてのハードルが下がったことが、重要な転機だったと思う。かつては、大きなメディアが世論を形成するうえで、非常に大きな力を持っていた。しかし、今では誰もがSNSや自身のブログ等で直接発信することができるようになった。発信者が増えることで、善い行いも悪い行いも世の中に反映されるスピードとパワーが圧倒的に向上した。

その中で、今、地方自治体に対する世の中の興味は確実に大きくなっている。例えば、猪瀬元東京都知事がインターネットウェブサイトで応じたインタビューが話題となり、地方自治体や地方議会にまで光が当たるようになった。東京都は以降、豊洲などの問題について今でも注目を浴びており、これはインターネットが既存大手メディアを巻き込み、爆発的に注目度を上げた事例であると言えよう。

このインターネットの生み出す流れはさらに助長されていくはずである。その上で、私がとても大切にすべきと感じる点がある。それは、ポジティブに未来志向で情報を広めることだと思う。東京都の例がわかりやすいが、どうしても地方自治体へは批判的な目が向けられやすい。もちろん、納税者の視点としては監視の目を持つことは理解できるが、今は単に批判だけをする時代ではなくなったのではないだろうか。我々が一個人として地方自治体の歳入に貢献している金額の割合なんて微々たるものである。それだけで、地方自治体がなんでもしてくれるような、召使やもしくは魔法使いのようなものだと思うべきではない。であるならば、いかに協力・共栄できるのかを考え地方自治体に注目していくというのが新しい関わり方なのだと思う。

素敵な活動の一例として、マニュフェスト大賞というものがある。この趣旨には”「マニフェスト大賞はこれまで注目を集めることの少なかった地方自治体の首長、議員や地域主権を支える市民の活動実績を募集・表彰し、発表することで、地方政治で地道な活動を積む人々に名誉を与え、更なる政策提言意欲の向上につながることを期待するものです。」”とある。Holg.jpでインタビューをさせていただいた後藤好邦さんの運営する「東北まちづくりオフサイトミーティング」も、マニュフェスト大賞第十回復興支援・防災対策賞で「マニフェスト大賞(市民)/最優秀賞」を受賞しているが、こういった魅力的な活動がさらに評価をされる時代が望まれる。地方自治体やその職員の方々には「まだまだ世の中に知られていない、眠っている価値のある情報やノウハウ」がいくらでも存在していると思う。その価値を広めることができれば、地方自治体や活躍する職員の方は、組織だけでなく個としても今以上に評価されることになるだろうし、それによって地方自治体職員の方々が誇りを持てるような情報の伝え方が増えればと思う。

既に各地のスーパー公務員は多くの情報をインターネット上で発信し、それが新たな動きを創り、インターネットというツールによって勤務エリア内だけではなく、日本全国でプラスの循環を生み出している。これからの世の中は、組織力よりも個の力が強くなっていくはずである。そのため、今以上に多くのスーパー公務員が生まれ、世の中に大きな力を波及することができるようになっていくだろう。その大きな流れを絶やさないように、地方自治体へはポジティブに注目し、ポジティブに期待していきたいと思う。

加藤年紀
株式会社ネクスト(2120)に2007年4月に新卒入社し、以降、不動産ウェブサイト「HOME'S」の営業グループMgr、マーケティンググループMgr等に従事、短期及び中期の経営計画策定等を行う。2012年5月に株式会社ネクストのインドネシア子会社、PT.Lifull Media Indonesia(当時PT.Rumah Media)のCOO/取締役として従事し、会社立ち上げから4年半ジャカルタに駐在。2016年9月末に同社退社。

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