コラム

地方自治体とIT人材

コラム

先日、宮崎県日南市長の﨑田恭平氏、岐阜県美濃加茂市長の藤井浩人氏など、地方行政で活動をされている方々のトークセッションが開かれたことを知り、早速動画を見た。

▼G1新世代リーダー・サミット2016「地方創生~企業×地域の新たなエコシステム」
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160809-00010000-globisv-ind

トークセッションでは共通したテーマとして「地方における生産性の向上」があげられ、コンパクトシティへの期待や課題、国から地方への権限委譲の必要性など、様々な地方創生トピックスについての理想と現実が語られていた。

中でも印象的だったのが、「日本一組みやすい自治体」、「日本の前例は日南が作る」と掲げる日南市の事例だ。日南市には多くのしいたけ農家があるが、彼らは1年のうち8ヶ月が稼働期間となる。そこで、残りの4ヶ月の時期には他の仕事を探そうとするのだが、期間限定となってしまうため、パートへの応募であっても採用されることが難しい状態だった。そこで、クラウドソーシングの仕組みを住民に紹介し、それを活用することで、今までと違う新しい仕事ができるようになった。日南市は様々な物事にトライし続けたことで、今年7社のIT企業が誘致されるらしい。僅か人口5万4千人の町に7社である。

しかし、最初から全てが上手くいっているわけではなく、チャレンジの中で失敗もあるという。IT人材をメインの入居者と想定したコワーキングスペースを作ってみたものの、地域にIT人材がいなくて利用されず困ったという笑い話が出てくるのだが、この失敗からIT人材の発掘ではなく、育成から始めるという方針に切り替えたという。そして、その後にクラウドソーシングという手段を使って仕事の提供とITレベルの向上を目指すことになる。

IT企業の誘致などと相まって、町全体の中でIT人材が輩出される素地が生まれ、それによって生まれた人材がいずれ地方を支える中小企業のブレーンとなり、地方におけるIT人材の必要性を体現してくれたらと思うと、インターネット業界にいる身としては心が躍る話だ。私はかつて地方の地場企業に営業をしてまわっていた時期があるが、まだまだネットリテラシーの理解が薄く、IT人材がやれることは多い印象を受けた。これから5年、10年経つと、さらに世の中の顧客はネットシフトしていくだろう。この中で地方の中小企業が変わらずに存在し続けることは難しいだろうし、地方という市場におけるハンディキャップを克服するためにも、ITを駆使できることが大きな力になるのではないかと思う。

スペインで働く知人の会社では、各部署にプログラマが配属され、徹底的にルーチン作業を効率化していく体制がとられているという。人がやるべき仕事は人がやり、機械がやれる仕事は機械がやるという仕組みは、先進企業だけが受けられる恩恵では決してなく、いずれ多くの組織や個人が享受できるものになっていく。昨今、プログラミング教育が小学校から必要という声が高まっている。早くから国を挙げてITを伸ばそうとしていたインドなどと違って、日本はその時勢に合わせた国民を生み出す教育戦略というのもが元々なされていなかった国であると思うので、これは非常に素晴らしい変革だと思う。その教育を受けた子供が育ち、各地域の生産性が高まる時代がきっと来るはずだと信じたい。

小野寺将人
湘南在住。不動産情報ウェブサイト運営会社、お出かけ情報ウェブサイト運営会社にて営業・企画職を経た後、現在はヤフー株式会社にて企画職に従事。

ネイティブアド



頁トップへ